2017年8月31日木曜日

フランスへ(パーティー1)

 小さな村の役場で式を挙げてから、彼のお父さんの家へ移動してパーティーが開かれました。役場から車で十分ほどのところにあります。周りは一面のぶどう畑です。遠くにヴァントゥー山が見えています。プロヴァンスらしい風景が広がっています。日本からはるか遠く離れたフランス、それもプロヴァンス地方にご縁をいただいた不思議さに、いろんな想いが胸をよぎります。



お父さんは、広い庭と広い家で、老犬と老猫と暮らしておられます。銀行マンとして活躍された後は、ボランティア団体の代表として精力的に活動されています。今回のパーティーにも、お父さんから多くの協力をいただいたそうです。子供から大人まで、総勢六十人ほどが集まり盛大なパーティーとなりました。この日のために、娘カップルは、企画から製作、実行まですべて自分たちでやりたいという想いで取り組みました。それでもお父さんや友人たちのあたたかい協力をもらっています。彼の幼友達二人は、前日から泊まり込みで準備に駆けつけてくれています。大きなテントがいくつも張られ、その下にはテーブルやイスが並べられています。テーブルの上には、お花を中心にして食器が並び、グラスには折り紙の鶴があり、ナプキンも花びらのように飾られています。この日の催しのメニューも、しゃれた飾りひもをつけて置かれています。すべて手作りの飾りつけです。



バイキング形式の食事は、お父さんの知り合いの女性が作られた地元プロヴァンスの郷土料理です。今はお店をたたまれていますが、八十歳を超えてもまだ現役で料理を作られていて、娘さんがされているレストランへ毎日手伝いに行かれているそうです。始めにお父さんが、挨拶とお料理の説明をされました。プロヴァンス産ワインをはじめ、いろんなワインがずらりと並んでいます。自分の好みのワインを手にとり、みんなで乾杯です。娘が朝から作ったちらし寿司もあります。デザートには、ピンポン玉ぐらいにくりぬいたメロンが大きなボールに山盛りです。


賑やかにパーティーが始まりました。フランス語ができない私は、唯一日本語で話せる人とおしゃべりします。そんな私に皆さんが気を使って下さり、「どうぞ、どうぞ」と、いろんなお料理を持ってきてくださります。子供たちもおしゃべりしに来てくれます。フランス語会話の力をつけないと、と後悔し焦りました。
 娘たちが計画したこの日の催しのメニューは、音楽演奏が前半と後半に入ります。イントロクイズもあります。宝探しもあります。オリーブの木に、皆さんからのメッセージを書いてもらって吊るすコーナーもあります。ケーキカットもあります。盛りだくさんの催しです。


 食事をしながら、談笑しながら時間が流れていきます。娘たちは、二人の出会いからこの日を迎えるに至った経緯を、皆さんの前でスピーチします。二人の出会いは、六年前に起こった東日本大震災がきっかけです。娘が支援を呼び掛けて、モンペリエで支援団体を立ち上げました。フランス人や日本人、モンペリエで暮らす他の国の人々などたくさんの人が集まってくれました。彼は力強い支援者の一人だったのです。六年以上の歳月が流れこの日を迎えました。短いようで長く、長いようで短い六年が思い出されます。

 

2017年8月30日水曜日

フランスへ(結婚式)

 結婚式は、北プロヴァンスの小さな村の役場で執り行われました。人口五百人の本当に小さな村です。村長さんが急病のため、副村長さんが二人立会人になられました。前もって依頼してあり、新郎新婦の書類も届けてあります。役場の前は、小さな広場となっています。広場の真ん中に、大きなプラタナスの木があり、ほど良い木陰を作っています。その広場に面して、カフェやレストランが数軒あり、村人の社交場になっているようです。




広場には、テーブルやイスが並べられていて、広場を使ってサービスをされています。結婚式をする時には、テーブルを少し片づけて式を挙げるための場が作られます。十一時からの式のために、彼の家族、彼の師匠、彼の友人、娘の友人、そして私達、総勢六十人ほどが集まりました。日本人は五人だけで、フランスの方ばかりです。その中には、日本へ留学された経験があり、日本語を少し話される方もおられるので、私は少しほっとしました。とにかく「ボンジュール、アンシャンテ」「こんにちは、初めまして」を、連発する私です。お礼の言葉を言いたくても、娘の通訳なしでは通じません。
 役場の前に机が一つおかれていて、その横には美しい女性の彫像が置かれています。それが式の準備です。まず始めに副村長さんが、式次第を述べられ、式が始まりました。時々皆さんから笑いが起こりますが、フランス語がわからない私は、その場の雰囲気を感じ笑顔を見せます。新郎新婦の隣には、それぞれの立会人が座っています。私達は、新郎新婦のすぐ後ろに座っています。彼のお母さんは、数年前に病気で他界されているので、お父さんだけです。そして周りにはたくさんの人が、二人のために祝福をしてくださっています。新郎新婦の紹介の次に、親の紹介も、副村長さんが言われました。私達は、立って深々とお辞儀をしました。皆さんから大きな拍手をもらって、胸がじんとしました。新郎新婦の誓いの言葉、署名が行われ、立会人の署名をいただき、式は終了します。夫婦となった二人は、立派な家族証明書を手にし、皆さんに披露しました。



 そのあとは写真を撮ったりして、お世話をかけた副村長さん方にお礼を言って、パーティーの会場となっているお父さんの家へ車で移動しました。花嫁が乗っている車の隊列は、クラクションを鳴らして走るのが恒例になっているそうで、賑やかなパレードが十分ほど続きました。今までに外国の映画やドラマで、教会での結婚式は見たことがありますが、今回のような結婚式は初めてです。日本で行われている仏式や神式や人前式とは違い、シンプルで親しみのある式でした。小さな村の役場の前でのかわいい結婚式を体験できて、感無量でした。

2017年8月29日火曜日

フランスへ

 八月も残りわずかとなりました。久しぶりのブログです。皆さまお変わりございませんでしょうか。酷暑は少しばかりゆるんできたように感じますが、残暑もまだまだ厳しいようです。
今年の夏休みは、私にとって、我が家にとって、記念すべき節目のものとなりました。フランス在住の娘が、結婚式を挙げるから来てほしいと連絡してきたのです。急遽渡仏することになりました。お相手は、長年付き合ってきたフランス人です。娘は、南仏のモンペリエに暮らしています。彼のお父さんが暮らしておられる、北プロヴァンスの村役場で式を挙げるとの連絡です。モンペリエから、高速道路を利用して二時間かかる田舎です。嬉しさと驚きと動揺する気持ちと緊張が入り交じりながらも、「行かねばならぬ」の一心で、フランスへ行ってきました。七年ぶりのフランスです。結婚式とパーティーを主要な目的としていますが、どうせ行くなら旅もしようと欲張り、一ヶ月の滞在となりました。帰国して一週間が経ちましたが、時差ぼけもまだあり、興奮冷めやらぬ日々です。所変われば何とやらで、毎日が驚きの連続でした。フランス語もしゃべれない私ですが、大事なのは人と人とのコミュニケーションだと痛感しました。とにかく微笑みが大切です。「ボンジュール、アンシャンテ、メルシー、オルヴォワ-ル、アビヤント」です。「こんにちは、初めまして、ありがとう、さようなら、またね」です。笑い話になりますが、私はこればかり連発していました。一ヶ月のフランス暮らしを、写真とともに報告させて頂きますので楽しみにしていて下さい。