長かったフランス滞在一ヶ月を終え、帰国して早一ヶ月が過ぎました。やっと平常の暮らしに戻ってきました。帰国してしばらくは、時差ぼけのせいにしていましたが、体内時計が一向になおらず苦労しました。夜中の三時、四時に目が開き、頭が覚醒してしまうのです。もう少し寝ないとと思っても眠れないので、仕方なく起き出して旅の記録を書いたりしました。今まで何度か海外へ行きましたが、今回のようなことはありませんでした。年齢を重ねるごとに、元へ戻るということは難しくなるのかもしれないと感じています。
フランス滞在の間ずっと時計を二つ持ち、現地時間と日本時間の両方を確認する癖がついていました。フランスにいる時は、今日本は何時だから、娘は仕事に行っているとか、寝ているとか気にしていました。日本へ帰ってからは、今フランスは何時だから、娘は仕事に行っているとか、寝ているとか気にしています。頭の回路が、日本とフランスの二本立てになっています。その癖が身についてしまったようで、苦笑する毎日です。
フランスとのご縁をもらい、フランス人との多くの出会いの中で、フランスについて少しわかったような気がします。おおらかな国というイメージを持ちました。長い歴史の中でたくさんの移民を受け入れ、フランス国民として平等に権利を与えています。教育費が無料ということは、国民にとって最大の権利だと思います。そのための財源として、税金が高いのはやむないことだと思います。国がおおらかで、人もおおらかで、小さいことをあまり気にしないお国柄のように感じました。それに比べると島国である日本は、完璧を目指し、小さいことも気にし過ぎるように思います。もちろん国民一人一人は千差万別です。大まかに言うとそれぞれのお国柄です。短い期間での感想なので、そんな印象を持ったということです。長い年月を暮らした人は、もっとリアルに国の違いを言うことと思います。人間一人一人はそれぞれ個性があるものの、善人というのはフランスも日本も同じだと思います。個人の主張から始まり、いさかいが起こり、集団となって戦争へと流れていった過去の歴史は、どちらの国も同じです。人と人は、友好関係を築けるものと信じています。
フランス出発の朝、娘達は車でモンペリエ空港へ送ってくれました。15分ぐらいで着きます。荷物を預け、少し時間があるのでラウンジでカフェ休憩をし、いよいよ出発です。私達が乗った飛行機が離陸するところを、娘達は写真に撮ってくれました。
一時間半ほどでパリドゴール空港に着きます。乗り継ぎ時間は、90分です。結構忙しいです。関西空港行きの飛行機に乗り込み、落ち着いてから外を見ると、たくさんの荷物が運び込まれているのが見えています。
窓から下を見ると荷物積み込み中です |
十二時間の飛行です。日本からフランスへは明るい中をずっと飛ぶので、窓の外の景色を飽きもせず眺めたりしました。到着しても同じ日付です。帰りはしばらくすると夜になって暗い中を飛び、夜が明けていく感動を味わいます。日本へ到着すれば日にちは一日進んでいます。飛行機に乗れば、乗務員も搭乗者も、皆が運命共同体です。無事を祈るしかありません。私は眠ることはできず、映画を何本も観ました。そして時計を見ては、関西空港まであと何時間、フランスは今何時、日本は今何時と確認をしていました。
日本に近づくときれいな朝焼けが見えました |
二つの国のお国柄を考えた時、仕事に取り組む姿勢に関して大きな違いを経験しました。あとでは笑い話になりますが、私達が関西空港へ着いた時のことです。飛行機を降りて空港の荷物到着場所へ向かおうとした時、私達の名前が書かれた掲示が目に入りました。荷物の係りへ行くようにとのことです。ひょっとして荷物が届いていないのでは!今回の渡仏は、娘の結婚式とパーティーのための特別なもので、大きなキャリーバッグを四つも持っての旅でした。慌てて荷物到着場所へ行くと、係の人は慣れた口調で落ち着いたそぶりで説明します。モンペリエで載せた荷物が、パリドゴール空港で置き去りにされたようなのです。日本人にとっては信じられないことが起きたのです。エールフランスを利用した私達は、この時ばかりはぎゃふんと思い知らされました。数時間後にポアロの携帯に「あなたの荷物が発見されました」というメッセージはありましたが「自分達のミスでこんなことになってしまい申し訳ありませんでした」という謝罪の言葉はありませんでした。これには本当に驚きました。日本の会社なら「お客様は神様」と、平身低頭で謝罪するところです。まるで「あなたの荷物は勝手にどこかへ行っていた」と言わんばかりです。結局翌日の夕方宅急便で自宅へ届きましたが、この経験はフランスらしいと思わされた事件でした。大きな重い荷物を持たないで、軽装で帰宅できたのは楽でしたが、想定外のとんだハプニングでした。一ヶ月のフランスへの旅は、このハプニングで終わりました。
翌日の夕方に4つの荷物が届きました |
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