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2020年8月3日月曜日

後悔先に立たず


 先日フランスから驚きのニュースが届きました。在仏18年の娘が、フランスの公共放送局ラジオフランスに出演するというものです。南仏モンペリエの大学へ留学し、たくさんの人のご縁を頂き音楽関連で仕事をしている娘です。毎年夏にモンペリエでラジオフランスの主催による音楽フェスティバルが開催されています。有料、無料のものもありの、開かれた音楽祭です。3年前に渡仏した私たちは、音楽祭に出かけ楽しませてもらいました。その音楽祭で、娘は十年にわたりオペラの字幕を担当してきました。仕事の仲間もたくさんいます。今年の音楽祭は、コロナ禍で開催できませんでした。人がたくさん集まるコンサートは禁止となったのです。そんな状況下ですが、ラジオフランスはいろんな工夫をして音楽ファンを楽しませてくれました。幅広い音楽の提供と、著名な音楽家への単独インタビューと演奏など、どこにいても聞けるものでした。私たちも、日本にいながらにしてモンペリエ発ラジオフランス夏の音楽祭を楽しむことができました。そんなプログラムの中に、娘へのインタビューがあったのです。
 現代は世界をネットが結んでいます。ポアロは、腕前を発揮しました。パソコンとオーディオを繋ぎ、スピーカーからきれいな音質で聴けるようにセットしました。フランスと日本の時差が、夏の間は7時間あります。娘から日時を聞いています。向こうの夕方5時から7時の時間帯です。日本時間では、夜中の0時から2時です。眠い目をこすりながら、スピーカーの前に鎮座しました。民族音楽が流れ、女性オペラ歌手の歌が聞こえてきます。世界的に有名なプリマドンナです。彼女へのインタビューが始まりました。合間々にはソロが入ります。一時間が経過しました。そろそろ娘の登場かなと耳を澄まします。1時が過ぎて現代音楽が始まりました。2時間の番組の中で、娘は10分のインタビューで出演することになっています。深夜になってそろそろ限界です。何かの事情で変更になったのかもしれないと、諦めることにしました。
 後日娘から連絡が入りました。日時の変更が起こり、放送は終わってしまったとのことです。しかし音源はもらったので、メールで送るから聞いてとの連絡です。ポアロはパソコンとスピーカーを繋ぎました。インタビューが始まりました。ソフトな物腰の優しい若手男性のインタビュアーの声です。フランス語を聞くのは久しぶりです。娘のフランス語が聞こえてきます。ラジオフランスの夏の音楽祭のスタッフとして参加している娘は、異色の存在です。ラジオフランスはパリからスタッフが出向いて、モンペリエで20日間の音楽祭を開催しています。



 遠い日本から来ている娘が、どんな経緯で関わるようになったのかは、みなさんの興味をひくところだと思います。そんな話をしているようです。留学から始まったフランス暮らしが、たくさんの人のご縁で幅広い音楽関連の仕事に携わっているのです。ピアニスト、ピアノ教師、オペラ座のスタッフなど何足もの仕事をこなしています。たった10分のインタビューです。またまたフランス語熱が再燃しそうです。かつてフランス語をかじり学んだ私ですが、ほんの少し知っている単語を聞きとれました。フランス語の魅力は、言語の美しさでしょうか。子守歌になるようなきれいな流れです。かじるばかりの私はマスターできずに、つくづく後悔先に立たずを感じています。

2018年8月23日木曜日

 ピアノの力(駅ピアノ)


 駅ピアノの存在を知ったのは数年前のことです。確かフランスから始まったと記憶していますが、その時はユーチューブを見て感動しました。最近NHKのBS1で、世界の駅ピアノが放送されています。放送時間が決まっていないようで、番組と番組の隙間を埋めるような駅ピアノです。偶然見ることができてから番組表をチェックするようになりました。夜中に放送されたり、本当にまちまちの時間で放送されていて一定ではありません。
  


 駅ピアノは、たくさんの人が乗り降りし利用する駅にピアノを置いて、誰でもピアノが弾けるように、「ピアノが弾きたい人はいつでもどうぞ」という趣旨で行われています。定点カメラが設置されているので、ピアノを弾く人の様子やコメントが映ります。音楽に国境はありません。たくさんある楽器の中でも、ピアノは誰にも馴染みある楽器です。音を出すことは容易です。赤ちゃんでも小さな手で、音を出すことができます。
映像に映る人達は、いろんな国の人達です。仕事もさまざまで、ホームレスの人もいます。私が観た時は、アメリカのロサンゼルス、チェコのプラハ、オランダのアムステルダムの映像でしたが、とても感動しました。日本社会ではあまり見ないような、ラフな服装の人がほとんどでした。気軽にピアノの前に座り、思い思いにピアノを弾きます。驚くのは、ほとんどの人が独学でピアノを弾いているのです。オリジナルの曲もあります。自分の想いをピアノで表現しています。長年ピアノに携わってきた私にとっては、目からうろこです。これこそ本当の音楽のように思えます。「好きこそものの上手なれ」です。映像に登場する人達は、皆さんピアノが大好きで、音楽が大好きで、心の中を表現しています。
コメントも哲学的です。
「音楽は自分のすべて」
「ピアノは自分のパートナー」
「ピアノに癒されている、救われている」
「いつでも夢を忘れない」
など、音楽に、ピアノに対する愛情と情熱が溢れています。
ある男性は「これまでの自分の人生には良かったものは何一つ無い。駅ピアノを弾いている時に声をかけてくれた女性と出会い、愛し合っている。駅ピアノが幸せをくれた」と言っていました。傍らにはその女性がいます。素晴らしい光景でした。映像には、様々な人生模様が映ります。音楽と人、ピアノと人との絆です。音楽の力、ピアノの力を再認識しました。私にとってもピアノはパートナーであり、嬉しい時、悲しい時、苦しい時、心の内を大きな心で受け止め、いつもそばにいて見守っていてくれました。大きな存在です。