2017年3月15日水曜日

ある人の話(親の介護)

 親の介護のために、大きな決断をされた知人のお話です。
  その方は五十歳を前にして、大手の会社を早期退職されました。その方は一人っ子同士の結婚で、夫、妻のそれぞれの実家は同じ市内にあり、行き来はできる距離でした。両親は八十歳を越え、少しずつ介護が必要な状況になっていったのです。双方の親四人に加えて、独身のままずっと実家におられた叔母さんも高齢となり、介護が必要な人は五人となっていました。始めの頃は、実家に通っての介護でしたが、だんだんと二十四時間介護となり、五人を一ヶ所に集めてのグループホームのようなものに変わっていったのです。想像するだけで、どんなに大変なものであったかは察しがつきます。そして父親二人が旅立たれ、現在は高齢女性三人の介護をされています。
 すでに十五年以上の時が流れているのですが、その途中ではご本人が癌を発症し、入院・手術となりました。経過は良好です。その闘病生活もあり、高齢者の介護どころではなくなりました。柱となる自身の健康が危ぶまれたのです。それでもその危機を乗り越え、今は彼に笑顔が戻っています。老々介護のあげくのはての無理心中が、最近立て続けに起こっていますが、先の見えない介護問題は、世界一の長寿国になった日本だからこそ抱える社会問題です。親としては、子供達に迷惑をかけないように逝きたいと願っていますが、こればかりはどうなるか予測はつきません。立派な知人の行動に驚き、考えさせられています。

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