2012年5月1日火曜日

知り合いの女性高齢者

 知り合いの高齢の女性は、現在八十七歳です。独居老人です。自分の身の回りのこと、炊事、洗濯、家事から経済管理まで、すべて御自分でされます。立派な世帯主です。息子さんが二人おられますが、遠くに住んでいて年に数回しか会えません。五十歳の時に夫を見送り、息子たちは独立していて、その時から一人暮らしが始まりました。六十歳までは仕事をし、退職してからは趣味を楽しむ生活をしておられます。多趣味の方で、パッチワーク、水墨画、俳句といろいろされてきましたが、今は俳句だけされています。
 彼女は生まれた町で結婚し、子供を育て、夫を見送り、一人暮らしになっても、ずっとその町に住み続けています。家を一歩出ると、顔見知りの人ばかりです。買い物に行って帰宅するまでに、何人もの人と会い、道で立ち話をするので、結構時間がかかります。
 彼女が住んでいる町は、下町です。子供世代の多くは、就職して町を離れ、親世代だけが残り、今となってはほとんどの人が、後期高齢者です。日本の高齢者の統計どおり、圧倒的に女性の独居の人が多く、それが幸いして、同じ境遇の友達がたくさんいるおかげで、何か困った時でも、遠くにいる息子たちよりも、近くにいる友達が、早く対応してくれるそうです。
 彼女の話される内容から、下町のよさが伝わってきます。助け合いの精神、人情のよさ、よい具合の敷居の高さが、昔のまま残っていて、その地域で暮らす高齢の方々が、独居老人という名前のイメージからは、ほど遠く、みんなで仲良く手を取り合って、最後のその時まで、楽しく暮らしていこうという思いが感じられます。
超高齢社会を突き進む日本にとって、お手本になるような高齢者です。

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