京の街歩きをしていると、不思議な光景が目に入ってきました。この真冬に簾をかけている家があるのです。それも多くの住宅にかかっているのです。とくに先斗町、祇園新橋通、宮川町などの花街を歩いているとさらに多く二階に簾がかかっているのです。簾は夏のものと思い込んでいる私は、この意外性に驚きました。京都といえば、町家では毎年、建具、敷物など、住まいの中を夏用、冬用に入れ替え、テレビ、本などではその模様をとりあげ「設え(しつらえ)」という言葉を使っています。「設え」という言葉には、日本古来から伝えられてきた日本的な文化の響きを感じます。
私の実家は京都ではありませんが、私の記憶にある限り、子供の頃からずっと、毎年夏用冬用の建具、敷物、衝立、簾、座布団から掛け軸まで、毎年入れ替えていました。それはずっと父の仕事でした。私は大変なことだと思いながらも、それが当たり前のような感覚でした。その感覚で、京都の冬にもかけられている簾を見ると、違和感を覚えます。いつの頃からこういう光景が、見られるようになったのでしょうか。昔からのことなのでしょうか。京都は何かにつけてきっちりするという印象を、私はもっていました。「設え」も典型的なその一つだと思っていました。きっと理由があるはずです。その理由を御存じの方がおられましたら、ぜひ教えて頂きたいと思います。
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