あいちゃんのお家には、二百年前から、家の守り神だと言い伝えられている、大きなくすの木があります。あいちゃんは、朝起きると「おはよう!大くすさん!」と、大きな声で、大きなくすの木を見上げてあいさつします。大きなくすの木は「ザワッザワッ」と、葉っぱをゆらして、まるで返事をしているようです。あいちゃんは、学校へ行く時も「行ってきます!大くすさん!」と、大きなくすの木に、声をかけて出かけて行きます。大きなくすの木は、いつでもあいちゃんの呼びかけに「ザワッザワッ」と、葉っぱをゆらします。
秋の終わりに、大好きだったおじいちゃんが、病気でなくなりました。「おじいちゃんは、どこへ行ったの?」あいちゃんは、お母さんに聞きました。「お空に昇り、このくすの木へ帰ってきて、いつもみんなを見守っていてくれるのよ」と、お母さんは言いました。その日からあいちゃんは「おじいちゃんは、この大きなくすの木にいるんだ。顔はみえないけれど、いつもみんなを見守っていてくれるんだ」そう思うと、おじいちゃんがいなくなった淋しさも「おじいちゃんが、いつも見守っていてくれる」という喜びに変わりました。
つづく
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