2012年11月19日月曜日

「ツバメの学校」 (3)

そんな練習をしばらく続けていたと思ったら、お父さんとお母さんは、電線まで飛んでいきました。そして子供たちに「さあ、今度はここまで飛んでおいで」と言っています。あいちゃんは、子供たちがどうするのかと興味しんしんです。すると、五羽の中の一羽が、お父さんとお母さんのいる電線まで飛んだのです。それを見ていた他の子供たちが、順番にあとを追って電線まで飛びました。五羽の子供たちの性格は、それぞれ違うということを知って、あいちゃんは、思わずニヤニヤしてしまいました。「一番に飛ぶ子は、元気で勇気があるんだな。お兄ちゃんかな、お姉ちゃんかな。最後に飛ぶ子は、末っ子で甘えん坊なんだ。まるで私みたい」と、思ったのです。

 五羽の子供たちが電線に並びました。お父さんとお母さんは、次のステップへと子供たちを誘います。もう少し遠い電線まで飛ぶ練習です。お父さんとお母さんは「ツバメの学校」の先生です。少しずつ飛ぶ距離を伸ばして、子供たちに勇気と自信を教えています。   
今日は日曜日なので、あいちゃんのお父さんもいます。あいちゃんのお父さんお母さん、お兄ちゃんお姉ちゃん、そしてコロも、家族みんなで「ツバメの学校」を見ています。素晴らしい「ツバメの学校」を見て、感動しています。

 五羽の子供たちは「ツバメの学校」の先生の上手な指導で、うまく飛べるようになりました。あいちゃんの家の周りで、あっちへ、こっちへ、飛ぶ練習をして、どんどん遠くへ飛んでいきました。そして、それからは、もう巣へ帰ってこなくなったのです。
 ヒナたちの巣立ちは嬉しいことです。でもツバメ一家の姿が見えなくなって、あいちゃんは、とても淋しくなりました。

「ツバメさん 来年もここへ飛んできてね」
                              あいちゃんは願っています。

       おわり

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