誰かの話し声で、目がさめました。声のする方を見ると、カラスのお家があります。カラスの家族がお話をしています。
「お母さん、この女の子はだあれ?」子供たちが聞いています。
「いつも元気に、大きな声であいさつしてくれる、あいちゃんだよ」カラスのお母さんが言っています。
「初めまして!よろしく!」あいちゃんは、カラスの家族とお話ができるようになったのです。カラスのお父さんは、子供たちにエサを運んできます。交代で今度はお母さんが、エサをとりに飛んで行きました。三人の子供たちは、取り合いしながらエサを食べています。とてもにぎやかです。
あいちゃんは、思い出しました。おじいちゃんが、このくすの木にいるはずだ。「おじいちゃん」と、呼んでみました。葉っぱが「ザワッザワッ」と、ゆれています。「ここだよ、ここにいるよ」おじいちゃんの声がしました。あいちゃんは、くすの木のずっとずっと上を見上げました。おじいちゃんがいます。この大きなくすの木の一番上の、てっぺんに座っています。いつものおじいちゃんです。元気だったおじいちゃんです。あいちゃんは、手を伸ばしました。おじいちゃんの手に届きました。大きなごつごつした、おじいちゃんの手です。おじいちゃんの大きな手の中に、あいちゃんの手は、すっぽり入りました。とてもあたたかな手です。おじいちゃんに会えた喜びで、あいちゃんは、ドキドキしています。おじいちゃんは、ポツリポツリ話し始めました。
「あいちゃんは、毎日、大くすさんに、大きな声であいさつしてくれるね。おじいちゃんには、よく聞こえるよ。大くすさんは、葉っぱをザワッザワッてゆらして返事しているんだよ。あいちゃんやみんなが、元気で過ごせるように、いつも見守っているんだよ」
あいちゃんは、おじいちゃんの優しい声を聞きながら、又うとうと眠ってしまいました。
おわり
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