2012年11月6日火曜日

塩飽諸島本島へ(2)


 レンタサイクルで昼食までの1時間半で、島の半分を回りました。海岸線に沿って走ります。釣り人達の姿や、畑仕事をしている女性の姿をちらほら見かけましたが、他に人や車に出会いませんでした。集落をいくつか通り抜けたあと、海辺にある小学校に到着しました。今は廃校になっている小学校です。2004年に全国放映された映画「機関車先生」のロケが、この小学校で行われました。教室は鍵もかかっておらず、自由に見学できるようになっていたので中へ入りました。管理する人も誰もいません。ポスターや写真が飾られていて、黒板には主人公の先生が本島を去る日に子供達に言い残した言葉が書かれていました。学校の前は海です。校庭には大きなくすの木が一本ありました。本島の多くの子供達の成長を見続けたこのくすの木は、廃校となった今も、校舎を、校庭を見守り続けています。胸が熱くなりました。静かな瀬戸内海の波が寄せては返し、しばらくその波の音を聞きながら、写真を何枚か撮り、小学校をあとにしました。
 


 
 海岸線に沿って上ったり下ったりで、途中自転車を押して歩きました。美しい海を見ながら、行き交うタンカーやいろんな船を見ながら、自転車に乗ったり歩いたりしました。大きな豪華客船が航海していくのを見たのもこの時です。間近でこんな大きな豪華客船を見たのは初めてです。瀬戸内海をこんなに大きな豪華客船が航海しているということに本当に驚きました。長さ150メートルで8階建ての2・2万トンとのことです。驚きました。
 

 
  次に、木烏(こがらす)神社へ行きました。その昔、瀬戸内海に人々を苦しめる悪魚(海賊)がいて、これを退治した時に、一羽の烏が水先案内をつとめたという伝承の烏を祀っています。社前には海に向かって立つ大鳥居がありました。社殿の横には千歳座という芝居小屋があり、1862年に建てられたもので、全国の舞台30件の中に入っています。回り舞台があり、江戸時代には歌舞伎、明治以降は新派劇・喜劇なども行っていたそうです。地芝居(村の若い人たちが、お盆のあと芝居の練習を始め、10月の祭りの日に芝居をした)や、受け芝居(春の麦の刈り入れ前に、島外から船で役者が渡ってきて、本格的な芝居を見せていた)があり、他に娯楽施設がなかったので、島民の大きな楽しみになっていたそうです。ちょうどその日は翌日に開かれる文化祭の準備がなされていました。
 


 

大鳥居の間から見る瀬戸内海の美しい海は格別なものでした。 

                             つづく

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