山陰の旅の二日目は、皆生温泉から、安来市にある和鋼博物館へ行きました。日本古来の伝統的製鉄法「たたら製鉄」について学びました。「和鋼」は、「たたら」で生産される日本(和)独特の鋼という意味です。中国山地は、良質の砂鉄と豊かな森林資源に恵まれ、古くから「たたら製鉄」が盛んな地帯であり、江戸時代の後半には、国内総生産の約80パーセントを占めたそうです。「たたら製鉄」で生産される「和鋼」の中で、最も質的に優れたものが、日本刀の材料となる玉鋼(たまはがね)です。ここから全国の刃物産地へ出荷され、各地域の産業の発展を支えたという歴史があります。先人の知恵と技を受け継いだ鋼の歴史を知り、何も知らないで、ただ恩恵を受けていただけの自分に気付かされました。と同時に、亡き父が伝統的美術品として愛し、自慢にしていた日本刀を丹念に手入れしていた在りし日の姿を思い出しました。
次に松江市にある島根県立美術館へ寄り、ロビーから宍道湖を眺め、写真を撮り、あわただしく次へと移動しました。ここから見る夕日は絶景ということです。
そして松江城、武家屋敷、小泉八雲旧居は、三十年前に幼い子供たちをつれて家族で来ているので、車で通り抜けました。その時は、運よく宍道湖花火大会を、ホテルの前の特等席、芝生で見ることができました。三十年ぶりに訪れたこの日も宍道湖花火大会で、その準備を忙しそうにしているたくさんの人がいました。
次に今回の旅の大きな目的地である出雲大社へ行きました。現在本殿は修造中ですが、神話博しまねを開催しており、たくさんの人が来ていました。投句箱が置かれていたので、旅の記念にと俳句二句を俄かに作り投句してきました。
近くにある古代出雲歴史博物館は、出雲の森をのぞむ素晴らしい立地に立てられた近代的な博物館です。遺跡から発見された多数の銅鐸や太刀が展示されており、巨大神殿出雲大社の謎に思いを巡らしました。平成12年(2000年)に、発掘された巨大な3本ひと組の柱根は、直径約1・35メートルの杉の柱を3本束ねた形状で、鎌倉初期の造営と推定されています。平安時代、出雲大社の本殿は48メートルの高さがあったといわれており、10分の1スケールで復元された模型がありました。神話シアターでは、日本最古の歴史書「古事記」の世界に浸りました。
そのあと、日本海に沈む夕陽を見るために、稲佐浜へ向かいました。生まれて初めて見る日本海の夕陽です。19時16分に太陽が沈むまで、30分ほど夕陽を見つめていました。日の出から日没までの太陽との一日が、こんなにも感慨深いものだということを改めて感じました。夕陽のスポットということで観光客も集まっていて、子どもたちは、無邪気に夕陽に手を振って「また明日」と叫んでいました。
私も「さよなら、また明日」と心の中でつぶやきました。
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