2012年10月25日木曜日

「ぼくは指揮者」 (1)


  ぼくは、音楽が大好きだ。

 家族みんなで、合奏する音楽が大好きだ。

 お母さんと下のお姉ちゃんは、ピアノ。

 お父さんは、ギター。

 おじいちゃんとお兄ちゃんは、ハーモニカ。

 上のお姉ちゃんは、木琴。

 おばあちゃんは、トライアングル。

 犬のタロは、タンバリン。

 ねこのミーは、カスタネット。

 そしてぼくは、合奏団の指揮者だ。
 

 時々ぼくは、家族みんなで合奏する音楽を、子守歌にして眠ってしまう。とても気持ちいいんだ。家族みんなで合奏する曲のレパートリーは、たくさんあるけれど、ぼくの一番のお気に入りは「大きな古時計」だ。家族みんなが、歌いながら合奏している。いつのまにか、ぼくも歌えるようになった。でも歌いながら、指揮をしながら、気持ちよくなって、ついつい眠ってしまう。

  お母さんのきれいな声、お父さんのかっこいい声、おじいちゃんのしゃがれ声、お兄ちゃんの元気な声、上のお姉ちゃんのすました声、下のお姉ちゃんの舌足らずな声、おばあちゃんの落ち着いた声。タロの「ワンワン」ミーの「ニャーニャー」本当ににぎやかな合奏なんだ。みんなに聞かせてあげたい面白い合奏なんだ。そしてぼくは、いつもニコニコニヤニヤ、ふき出しそうになるのをこらえて、指揮をしている。


つづく

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