2015年5月17日日曜日

優しい眼差し

 先日クリーニングに出したいくつかの冬物の衣料を受け取った後、ポアロ(夫)と買い物に回りました。食料品もいくつか買い、荷物が増えました。今指に支障が出ているポアロは、たくさんの荷物を持てないので、少しだけ入れた小さなレジ袋を一つ持ってくれました。私は買った食料が入った大きなレジ袋を腕にかけて、コートやジャケットなど四点の冬物衣料を大きな袋に入れて、両手で抱っこして歩きました。「重いけど仕方ない」と心の中で思いながら歩きました。途中で同年代と思われる男性と出会いました。その人の眼差しが私に向いています。「気の毒に」という眼差しです。小さな体の私が、大きな荷物を抱え重そうに歩いていることに、同情されたようです。私の横には、大きな体のポアロが、小さなレジ袋をぶらさげて歩いています。その男性の眼差しは、私を見てポアロを見て「理解できない」といった眼差しです。「自分だったらとてもそんなことはしない」といった眼差しです。「大きな体の夫が、小さな体の妻に大きな重そうな荷物を持たせて平気なのか」といった眼差しです。私は男性の気持ちがわかり「すみません、夫は事情があって重い物は持てないんです」と言いたいほど、男性の優しさを感じました。
 この時、私は遠い昔に友人が話したことを思い出しました。友人は幼い子供を抱っこして、夫と三人で買い物に出かけたのですが、帰り道、買った荷物も自分が持ち、子供も抱っこしてフーフ-言っているのに、夫は知らん顔してさっさと先へ歩いて行ったそうです。友人は堪忍袋の緒が切れて、爆発させてしまったそうです。たくさんの人がいる公衆の場で、大声を出して夫に怒鳴ったと言っていました。恋愛結婚したご夫婦です。口に出して言わなくても、相手を思いやる気持ちでできることはたくさんあります。友人の夫は、悪気はないのですが、言われたらするというタイプの人だったようです。
 十年ほど前のことです。自宅から歩いて三十分ほどのところのスイミングスクールで泳いだ後、スーパーで買い物をしました。広告の品というのにつられて、持てないほどのたくさんの物を買ってしまいました。買った以上は、家まで持って帰らなくてはなりません。三つほどのレジ袋にいっぱい詰めて、そのうえ水泳の道具も持って、私は休み休み、フラフラしながら歩いていたのかもしれません。その時、私より十歳ほど若いと思われる女性が、自転車に乗って通りかかりました。私を追い越して少し先へ行ってから、また戻ってこられました。「大丈夫ですか、お送りしましょうか」と言って下さるのです。私は親切なお言葉に感謝し、お礼を言って「ありがとうございます。もう少しですから」と辞退しました。親切な人の多いこと、優しい人の多いこと、ほとんどの人がそうであることに気づきました。

 同年代と思われる男性の優しい眼差しに出会い、いろんなことを思い出しました。

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