2012年12月20日木曜日

独居老人


 現在日本では、独居老人が増加しています。圧倒的に女性が多く、夫を見送ったあと一人暮らしがはじまり、核家族化が進む中での構図です。非婚の単身世帯が増え続けている今、何十年か先には、男性の独居老人も増えると思います。

 義母は現在八十八歳で、一人暮らしは四十年近くになります。六十歳で仕事を終えてから、いろんな趣味を楽しみ、友人もたくさんいる活発な優良高齢者です。長年続けてきた俳句は、今もしています。血圧が高くなり薬を飲み始めてから、25年も過ぎていますが、いたって健康でどこへでも歩いていけるほどの、元気な暮らしを続けてきました。家の近くのクリニックを主治医とし、2週間に一度は病院へ行き、薬をもらい、何か気がかりがあれば相談にのってもらっていたのです。

 ところがここ最近ちょっと様子が変わってきました。「しんどい、しんどい、もうあかんは」と、私達にしょっちゅう電話をすてくるようになったのです。病院へ行っても何の異常もなく、先生から「何の心配もいりません、大丈夫です」と言ってもらっても気持ちがしんどいようなのです。私達は、昨夜車で4時間かけて、義母の様子を見に行きました。いつもと変わらず食欲もあり、よくしゃべります。外から見ている限り「しんどい、しんどい、もうあかんは」の実状はわかりません。一人暮らしが長く、元気に陽気に人づきあいもこなしてきた義母の、どこがどう変化してきたのか、しばらく一緒に過ごし、身近で接してみようと思い、私達のところへ連れ出してきました。昨夜は義母のところへ一泊し、仕事があるので今日こちらへ移動しました。

 私が推察するところ、人間最後のその時についてへの不安・恐怖が、精神的にまいらせているのではないだろうかということです。どんなに元気に過ごしても、最後のその時は誰にも訪れます。今、世界最高齢は、京都の115歳の男性です。ピンピンコロリはみんなの願いですが、それは誰にも予測不可能なことです。義母は、夜一人でいるとそのことばかり考えて、パニック的症状を起こしているのかもしれません。息子夫婦とおしゃべりしながら、食事をし、買い物に出かけたりして、そばに誰かがいてくれるという安心感が、一番の療法かと思っています。

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