2012年12月17日月曜日

「孫」


もうすぐクリスマスがやってくる

庭一面にイルミネーションを飾る

塀、屋根、あらゆるところに飾る

最高のものを飾る

金に糸目は付けぬ

孫たちのために孫たちの喜ぶ顔が見たくて一心不乱に飾りつける

巷ではじじバカと噂されているようだが構わない

 

かつて私は今の自分を想像したことがあっただろうか

仕事は頂点まで登りつめ悔いはない

短気でわがままで世間は自分のために回るととらえていた

自分の欲しいものは何でも手に入れた

数々の浮き名を流しプレイボーイと評された

自分はもてる男だと自負していた

しかしそれらはすべてうたかただった

 

三十過ぎて結婚した

子供が一人二人と生まれても私は何も変わらなかった

仕事にかこつけ子育ては妻に任せた

そしていつのまにか子供らは成長し離れていった

 

退職してから孫が誕生した

もみじのような小さな手足

純粋無垢な眼差し

それでいてこちらのすべてを見抜いているかのような眼差し

私は孫の前で緊張した

今までに経験したことのない自分になっていた

 

孫は自分の分身だった

かわいくてかわいくて

愛しくて愛しくて

目に入れても痛くないと言われる孫の存在

私にはそれどころでない孫の存在

孫は私のすべてとなった

孫は私の天使になった

 

孫とともに過ごせる時間は最早カウントダウン

私はあせりだした

孫に与えられるものはすべて与えよう

私のすべてを与えよう

物質的なものも愛情もすべて

 

今までの恋はすべてうたかた

今までの愛もすべてうたかた

今 私は真実の愛を知った

真実の愛は純粋なもの

真実の愛はみかえりを求めない

真実の愛はみかえりを期待しない

 

私はただひたすら愛を捧げる

孫の笑顔が至福の時をもたらす

 

今 私は感謝する

妻に感謝

子らに感謝

子の嫁や婿に感謝

 

そして孫の成長を祈る

孫の幸せを祈る

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