次に編み出したのは、母親になるということがわかり、赤ちゃんのためのおくるみや、ポンチョ、ロンパース、くつしたです。小さな作品を作り上げていく過程で、母親になるという自覚や心構え、覚悟も身についていったように思います。小さな命を守り、大切に育て、命がけで産むという女性としての大きな仕事です。私は、血液型がABのRHマイナスで、確か2000人に一人の率です。妊娠がわかってから月に一度、県の血液センターで抗体化検査を受けていました。リスクを抱えての妊娠、出産です。出産は実家に戻ってということになったので、検査も実家のある県でしました。輸血が必要になった時のための準備もしました。無事生まれた子供は約4キログラムの赤ちゃんで、私が編んだ小さな作品は、着る間もなく、おくるみだけが愛用されることとなりました。
二人の子供に恵まれ、子育てと仕事に追われるてんやわんやの毎日が続き、編み物のことは遠くに置き去りにされていたのですが、下の子供が小学校へ入った頃から復活となりました。子供達のセーターを編みながら、編み物ができる喜びをかみしめて、だんだん仕上がっていくセーターを見て、一人ほくそ笑んでいました。
いつかのクリスマスプレゼントは、ポアロ(夫)へ再びセーターを編みました。本を見ながら棒針を使い、なわ編みに挑戦しました。我ながらうまくできたと、自慢したくなるほどのセーターが完成したのですが、結婚○十年過ぎた彼には、丈が少し短くて、それ以来毎年冬になると「丈をのばして!」と、言われ続けています。実はその毛糸が手元に残っていないのです。それは何年か前、東京にいた時に買い求めたもので、男性のセーターができる分量より多い目を買ったのですが、それでも少し足りなかったのです。その毛糸は廃番になっているので、よく似たものを探して丈をのばそうと思いつつ、また何年も過ぎてしまいました。
自分勝手にいいかげんに、編み物を楽しんできた私ですが、近頃は「ええかげんはあかんぞー」という声が、ちらほら聞こえてくるようになりました。
つづく
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