全国高校野球記念大会が終わりました。まだ興奮覚めやらぬといった感じです。今年は100回目の記念大会です。決勝戦は、北大阪代表の大阪桐蔭高校と秋田県代表の金足農業高校の対戦でした。桐蔭高校は、春夏の連覇を目指し、金足農業高校は、大会一回目の決勝戦に挑んだ秋田県代表に続き100年ぶりの記念すべき決勝戦です。決勝戦の試合が始まる前から、テレビでは金足農業高校のいろんな話題を提供してくれました。盛り上がりは大変なものでした。強豪大阪桐蔭高校に関しては、あっさりしたもののように感じました。どちらのチームを応援するかについて、大阪人のポアロは、大阪桐蔭高校を応援します。私は、テレビから得た情報を元に金足農業高校を応援します。金足農業高校の応援の席には、雑草軍団と書かれた横断幕が人々の目をひきます。強くたくましく、何事にも全力で立ち向かうといった、高校のスローガンのようです。決勝戦を前にして、高校では飼育しているブタが9匹の赤ちゃんを産みました。飼育担当の生徒が決勝戦に出ています。9匹のブタの赤ちゃんの姿もテレビに登場し、誰もが「かわいい!」を連発します。
試合が中盤に入ると、強豪桐蔭高校の強さが目立ってきます。実況中継をするアナウンサーの「応援席の空気が変わってきたようです。金足農業高校に大きな声援が送られています」という言葉が出ます。テレビの前にいる私達にも伝わってくるような、甲子園の熱風です。手に汗を握るといった状況で、試合が進んでいきます。日本人の判官びいきが表れているようです。金足農業高校に、何とかあと1点でも追加点が入るようにと願い祈ります。9回表で試合が終わりました。
結果が出たものの、しばらく放心状態です。試合が終わり、閉会式に向けて準備が始まります。少しずつ気持ちも落ち着いてきます。100回目の記念大会ということが、ずしりと響いてきます。大会委員長の言葉が胸に染み入りました。「三つのHが浮かんできます。ヒーロー、ハンドレッド、ヒストリーです」の言葉には、深い意味があるように思います。戦争をはさんでいるものの、100回という記念すべき大会です。全国高校野球選手権大会が100回も続けられてきたのです。若人の純真な心、野球一筋にかける青春、試合を見ている者にとっても、過ぎ去った青春時代がよみがえります。優勝チーム、準優勝チームが、球場を一周します。大きな拍手が送られます。甲子園の空には不思議なことに虹が出て、空からも若者達に声援が送られているようです。感動で瞼が熱くなります。いつものことながら「感動をありがとう」の言葉を贈ります。翌日のニュースでは秋田の空にも同時刻に虹が出ていたそうです。
私のふるさと三重県は、県立白山高校が初出場の快挙を手にしました。県庁所在地津市の西部に位置する、山に囲まれた田園地帯にある小さな高校です。始めは部員の数も足りず、2年前までは県予選1回戦で敗退していました。今回三重県代表となった白山高校は、マスコミからも注目され「下克上」と言われました。野球部の部長は、女性教諭です。このこともマスコミは取り上げて取材をしていました。全国でも珍しいそうです。三重県代表となったことから、地元では大騒動です。応援団もありません。ブラスバンド部は、たったの8人です。俄か仕立てのブラスバンド部は、近隣の中高生も加わり80人となりました。寄付金集めも地元では大きな仕事です。甲子園での白山高校は、初々しさを感じる爽やかな印象を醸し出しています。初出場ということもあり、三重県人は一生懸命応援しました。勝敗にはこだわりません。甲子園に来たというだけで十分です。参加したことに意義ありです。
100回記念大会には、史上初の56校が出場しました。すべての人がふるさとを想い、それぞれのふるさとの代表高校を応援します。皆が盛り上がる素晴らしいものです。高校野球が終わるとともに、2018年の夏が終わった気がしています。