ずいぶん前のことですが、子供達が小学校2年生の時の、国語の教科書に、とてもよいお話が載っていました。題名は「スイミー」です。1910年オランダのアムステルダムに生まれた絵本作家レオ・レオニの作品です。
広い海のあるところに、小さな赤い魚の兄弟たちが、暮らしていました。その中に一匹だけ黒い魚がいました。名前はスイミーです。泳ぐのはとても速いスイミーです。ある日、兄弟たちは大きな魚に襲われ、小さな赤い魚たちは、みんなのみこまれてしまいました。スイミーは、速く泳いで逃げて助かりました。スイミーは、独りぼっちになって、悲しい淋しい日々を過ごしていました。でもスイミーは、海にはたくさんのいろんな友達がいることを知りました。そして、兄弟たちとそっくりの小さな赤い魚たちに、出会いました。みんなは、大きな魚に食べられる恐怖で、隠れていました。スイミーは、何とかしなくちゃと思いました。スイミーは、考えました。いろいろ考えました。うんと考えました。そして、ついによい方法を考えつきました。みんなで一緒に泳いで、海で一番大きな魚のふりをしようというのです。離れ離れにならないで、もちばを守って大きな魚に見せるのです。みんなで力を合わせて、大きな魚みたいに泳げるようになりました。スイミーだけが、黒い魚です。「ぼくが、目になるよ」スイミーは、大きな魚の目になりました。そして、海で一番大きな魚になったスイミーと小さな赤い魚たちは、怖い大きな魚を追い出したのです。
作者レオ・レオニが、言いたかったこと。それは「考える、いろいろ考える、うんと考える」ということの大切さ。そして、どんな困難にも、逃げないで立ち向かうということ。一人一人の力は小さくても、みんなの力を合わせれば、大きな大きな力となって、どんな困難も乗り越えられるということ。小さな魚のスイミーが、うんと考え、勇気を出して行動を起こしたことは、このお話を読んだ子供達の心の中に、いつまでも記憶されることでしょう。そして、それが生きていく上での羅針盤に、なってくれることを願います。
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