今からちょうど6年前の夏のことです。夫婦で、フランス、スペインへ旅行しました。南仏に住んでいる知人を訪ねたあと、スペインのバルセロナへ、国際特急に乗って出かけました。フランスとスペインの国境では、列車の中で検問がありました。生まれて初めてのスペインへの旅です。二人とも緊張し興奮しています。スペイン語は、しゃべれません。旅行ガイドブックに載っているわずかなことばを言えるようにと、俄か勉強です。20年前にバルセロナオリンピックで有名になった、バルセロナです。スペインの二番目の大都市で、建築家ガウディや画家ピカソやダリ、ミロでも有名ですが、遠く離れた日本では、何といってもバルセロナオリンピックで、日本のすみずみまで知れわたりました。
私達は、一泊二日のあわただしい旅で、着いた日は、周遊バスに乗り、バルセロナの町を回りました。ミロ美術館や、ガウディのサグラダ・ファミリア教会を見学し、一度ホテルへ戻り、夕食は町でと思い、にぎやかな町の中心にある古いレストランで、スペイン料理として有名なパエリアを食べました。その頃から激しい雨が降り始め、雷鳴も響きわたり、ひどい夕立になったものだと、私達は、雨にぬれながら走り、地下鉄に乗りなんとかホテルへ戻りました。2日目も、雨が激しく降っています。お天気が悪くても、遠い日本からバルセロナへ来た私達は、雨もなんのその、精力的に観光に出かけました。最後にピカソ美術館を見ておこうと向かったものの、近くまで来ているのに、当の美術館がなかなか見つかりません。小さな裏通りにある小さな美術館でした。美術館へやっと辿り着いたものの、時間切れとなり、中へ入ることもなく、あわただしく帰路に着きました。
バルセロナの駅で、前もって買っておいた国際特急の列車が、なかなか到着しません。何が起こっているのか、言葉がわからない私達は、だんだん不安になってきました。予想していなかったことが起きたのです。うちのポアロ(夫)が、何とか英語で駅員から情報を得ました。「国際特急が、始発駅から豪雨のために、出発が遅れていて、いつ到着するかわからない」というのです。前もって買った切符の列車がいつ到着するのか、まったくわからないと言われ、私達はただ呆然と、自分達の乗る列車の到着を待ちました。2時間ほど遅れて、その列車は到着しました。列車に乗って、座席に座り、私達はホッとし、これでフランスへ戻れると安堵したのも束の間、何やら車内がざわざわし始めたのです。
つづく
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