2018年2月16日金曜日

現代入院事情


 まんたん(義母)が大腿骨を骨折して、緊急入院し手術してから二週間が過ぎました。私達は、久しぶりに入院病棟へ出入りしています。今の入院事情には驚いています。以前ならタオルからパジャマ、ティッシュペーパー、コップ、歯ブラシなどすべての物を持ち込みましたが、今は一日五百円ですべてが用意されます。家族がたくさんの洗濯物を持ち帰る必要はありません。本当に助かります。
この病院は父が十四年ほど前に八十八歳で他界する前、少しの間入院した公立総合病院です。入院病棟へ出入りするのは、少し緊張します。整形外科なので他の病棟とは違い、重苦しさは少ないと思いますが、それでも私は苦手な場所です。昔の病院とは違い、窓は大きくてとても明るい近代的な建物です。三十畳ほどの食堂兼ラウンジがあり、面会に来た家族とそこへ来れる患者さんは、ここで談笑できます。テレビも置かれています。まんたんはまだそこまで快復していないので、私達は病室へ入ります。
骨折で入院手術と聞くだけでは、わからない光景が広がっています。まんたんは九十三歳の超高齢者です。認知症もあります。若い人と比べれば、気力、体力が違います。若い人は、早く快復させ元の生活に戻りたいという思いが強いと思います。まんたんは、今自分が置かれている状況がわかりません。ずっと混乱状態です。リハビリをするにも痛いしんどいが先に立ち、意欲はありません。理学療法士、作業療法士さんの叱咤激励を受けて、何とかこなしている感じです。快復に向けての不安が頭をよぎります。高齢者のお手本のような立派な体だったまんたんは、骨折によりずいぶん変わってしまいました。骨折により自分の体を自由に動かすことはできません。排泄も看護師さんのお世話になっています。点滴をする場合は、両手を拘束されます。認知症があるので「さわらないで下さい」と言われてもいじってしまいます。認知症がなければ、超高齢者でも正しく理解することができるのでしょうか。疑問です。父は八十八歳で亡くなりましたが、その前に胃ろうとなっていたので、両手は拘束されていました。高齢者の気持ちは、邪魔なものは取り外したいというものだと思います。認知症でなくてもそれが自然の姿だと思います。スパゲッティー症候群(いろんな管に繋がれて最期のステージを過ごすこと)は、誰もが避けたいと思うことです。長寿を喜ぶというのは、単純なものではありません。長寿になればなるほど、できれば避けて通りたいと思うことに身をさらすことが起こります。まんたんが今の状況から早く脱却して、本来の自分を取り戻してくれることを願いながら病院へ通っています。

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