2017年1月17日火曜日

レンタルビデオ(2)「カルテット!人生のオペラハウス」

 先日レンタルビデオをスタートしてから、毎日映画を一本観ています。イギリスの大女優マギー・スミスさんのファンになった私は、早速彼女の映画を観ることにしました。
 二本目となる映画は「カルテット!人生のオペラハウス」です。監督は名優であるダスティン・ホフマンです。「卒業」「クレイマー、クレイマー」「レインマン」トッツィー」を観た私は、懐かしく思い出します。彼も現在は後期高齢者で、「カルテット」で描かれている人達と同世代です。この映画は引退した音楽家達が暮らす老人ホームが舞台です。以前NHKのドキュメンタリー番組「人生を奏でる家~ミラノ・老音楽家たちの日々~」で取り上げた、音楽家のための老人ホームからヒントを得ています。多くのオペラを作曲したヴェルディが、1896年にイタリア・ミラノに創設しました。音楽家たちが最期まで尊厳をもって音楽に向かい合えるようにと私費を投じて創設したのだそうです。


 この映画では財政難になっている老人ホームを存続させるために、老音楽家たちは立ち上がります。ヴェルディ生誕200周年を祝うコンサートを開き資金集めをしようというのです。かつて同じカルテットで歌っていた仲間のうち、三人(男性二人、女性一人)はすでにホームの住人になっていたのですが、そこへ新しい住人がやってきました。カルテットの一人、女性(マギー・スミス)です。



 いろんなもめごとが起こります。しかし最終的には四人でコンサートで歌うこととなりハッピーエンドになります。ホームの住人には、イギリスの老トップ音楽家たちが登場します。役者が音楽家を演じるのではなく、音楽家が演じるのです。老音楽家たちが歌い、演奏します。監督ホフマンは「年をとるとはどういうことか、そのまま見せたかった」と語ったとのことです。体の不都合も起こっています。カルテットの一人、女性歌手は認知症も始まっています。エンディングロールでは、イギリスが誇る老音楽家たちの現在と若き日の写真とともに紹介が流れます。オペラ歌手、ピアニスト、ヴァイオリニスト、ヴィオラ奏者、クラリネット、トランペット、チェロなど、交響楽団、管弦楽団、室内管弦楽団のコンサートマスターや首席奏者のオンパレードです。最期の時まで、人生の最終章があふれる音楽に包まれます。「肉体は衰えても音楽や愛が人生を彩ってくれる」という監督ホフマンからの人間賛歌のメッセージです。ホフマンも五歳からピアノを習い、演技の勉強を始める前はジャズ・ピアニストになるのが夢だったと聞いています。長年音楽に携わってきた私にとって、映画に登場された方々は偉大な音楽家であり、人生の先輩です。敬意を表します。

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