生まれた時から最期までつきあう自分の顔について、ここがこうあったら、そこがそうあったらと、十代の頃は不平不満を口にした人も多いと思います。特に男性より女性に多いのかもしれません。化粧をしない男性は、「この顔で生きて行くのだ、この顔で生きて行くのさ、何か文句あるかい」と割り切って、顔のことよりも自分の能力を発揮したいと考えているからでしょうか。生まれたばかりの赤ちゃんも、周りの人から「お父さん似かな、お母さん似かな」といろいろ言われます。美男美女、二枚目、三枚目、二枚目半、ハンサム、ハンサムウーマン、愛らしい、キュート、個性的、クール、表現もいろいろあります。
先日少し気になる発言が、ポアロ(夫)から出ました。我が家の浄化槽の点検で、15年もお世話になっている男性に、久しぶりに会ったポアロが後で「あの人、ええ顔してるな」と言ったのです。私が心の中で感じていたことは、正しかったのだと確信しました。それは異性だけでなく同性にもわかることだったのです。彼には、二か月に一度来てもらっているのですが、いつも顔を合わすわけではありません。男性が男性の顔について言うのは、珍しいと思いました。さて「ええ顔」とは、その意味は。15年前、初対面の時に私が感じた第一印象は「どことなく頼りない感じのお兄ちゃんだな」というものでした。その時はベテランの熟年男性についてきての挨拶でした。そのあと数回で熟年男性は亡くなられて、彼は一人立ちしました。初対面で私が感じた「頼りなさそう」は、優しさの反面だったのかもしれません。にこやかに優しい雰囲気で話す彼は、そのあと徐々に顔が変わっていきました。会うたびに彼は逞しくなり、ポアロの言う「ええ顔」になっていきました。顔にはその人のすべてがあらわれます。人間としての成長や成熟が、顔ににじみ出てくるのだと思います。年齢も二十代から三十代、四十代へと変わり、彼の人生も独身時代から家庭人となり、子の親にもなったでしょう。そして仕事にも責任と自信がついて、立派な大人になったのだと思います。
自分自身のことは全くわかりません。人の目を気にすることなく、ひたすらがむしゃらに生きてきた私ですが、人生の先輩方は、私の成長・成熟を、どういうふうに感じておられたのでしょう。今思い出すと恥ずかしく面映ゆい限りです。
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