2013年7月25日木曜日

思い出の中の歌(1)


 祖母は貝拾いが大好きでした。その季節になると何度も出かけました。一人ででも出かけました。海までは家から歩いて一時間ほどかかります。祖母は、籐でできた大きな乳母車を押して出かけます。私は、子供の頃、時々祖母のお供をしました。行きも帰りも、私は乳母車に乗っていきます。乳母車に乗った私は、いつも「うみ」を歌いました。

 

「うみはひろいなおおきいな つきがのぼるし ひがしずむ

 

 うみはおおなみあおいうみ ゆれてどこまで つづくやら

 

 うみにおふねをうかばせて いってみたいな よそのくに」

 

そして海に着いて二人で貝拾いをします。アサリ、ハマグリ、バカ貝などたくさん取れます。途中でお昼ごはんです。祖母が作ったおにぎりを食べます。そのあともまた二人で貝拾いをします。私は、そろそろ飽きてきます。祖母は、黙々と貝拾いを続けています。私は、乳母車に戻ってひと休みします。小さな体は、乳母車の中でも寝ころべます。青い空を見ながら「我は海の子」を歌います。

 

「我は海の子 白波(しらなみ)の 騒ぐ磯辺の 松原に

 煙たなびく 苫屋(とまや)こそ 我が懐かしき 住家(すみか)なれ

 

 生まれて潮(しお)に 浴(ゆあみ)して 浪を子守の 歌と聞き

 千里(せんり)寄せくる 海の気(き)を 吸いて童(わらべ)と なり
  にけり

 

 高く鼻つく 磯の香(か)に 不断(ふだん)の花の 香りあり

 渚の松に 吹く風を いみじき楽(がく)と 我は聞く」

 

 1910(明治43年)に「尋常小学読本唱歌」に発表された曲とのことですが、非常に難しい歌詞で、私は、意味もよくわからず歌っていました。青い空には、白い雲が浮かんでいます。時々カモメが飛んでいきます。私は、誰もいない海辺で大きな声で歌います。

「うみ」「我は海の子」 大好きな歌です。

海、貝拾い、祖母、懐かしい思い出です。

子供時代の私を思い出します。

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