2017年6月27日火曜日

体感温度

 体感温度は人によって大きな違いがあるようです。部屋の温度にしても、夏は冷房、冬は暖房、その温度設定は自由自在です。しかし一人暮らしならともかく、二人暮らしとなるとその温度がケンカのたねにもなります。結婚して早何十年、私はずっと相方に合わせてきました。自分ながら自分の心の広さ、寛容さに呆れています。大人し過ぎる性格が原因でしょうか。優し過ぎる性格が原因でしょうか。あるいは自己主張できないほどの意気地なしなのでしょうか。それとも相方がワンマンで亭主関白なのでしょうか。相方が社会的には第一線を退き、自由気ままなシニア暮らしになって、私の気持ちが変わりました。長年自分を束縛してきた糸を、切ることにしました。こんな意識を持つと、プツンプツンと糸を切る音が、快感に聞こえます。ケンカになろうとも、自己主張するのです。そうすると相方も譲歩してきます。今はほどよく折衷となりました。
 体感温度といえば、それは食べ物の温度の好みにもあらわれています。私は猫舌といわれるほどの、熱いのが苦手です。相方は、やけどしそうなほどの熱さが好みです。少しぐらい冷めていても私は平気ですが、相方は気に入りません。熱いものは熱く、冷たいものは冷たく、中間はありません。私は、中間がいいかげん、ええかげん、よいかげんです。ここまで書いてきて、二人の反対さが面白くて笑い出しました。食べ物の温度については折衷はありません。温度は、おいしいと感じる味覚の重要なポイントの一つだからです。これに関しては、相方に合わすことが、これからもずっと続きます。

 体感温度のもう一つ、心の体感温度も個人差があると思います。繊細な神経の持ち主、デリケートな人、感受性豊かな人など、物事の取り方は千差万別です。私の心の体感温度は高く、相方は低いようです。生まれてから育つ過程で、培われるものだとは思いますが、生まれもった天性の部分もあるかもしれません。共に暮らす二人は、お互いを補い合い、人間的成長を目指して、一生をかけて過ごすのですから、どっちがどっちといった、白黒をつけるようなものではないと思います。似た者同士より、生きる世界が、視野が、倍になる気がしています。

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