今、京都鴨川では、あちこちでカモの子育てが行われています。先日鴨川岸辺を散歩している時のことです。お母さんカモが小さな子供達を引き連れて泳いでいます。最初に見た母カモは、九羽の子供達をつれていました。その光景がかわいくて面白くて、しばらく見とれていました。母カモの後ろには、九羽のヒナが、行儀よく一列に並んで、お母さんからはぐれないように、必死についていきます。しばらく進むと、エサをとる練習が始まりました。おしりを上に突き出して、上手にもぐります。もぐったかと思うとすぐ起き上がります。お母さんは、九羽の子供達の様子を見ながら、危険はないかと見守っています。
少し川を下ったところには、また別の母カモと六羽の子供達がいました。岸辺の川草が繁ったところで、何かをとっているようです。子供達はお母さんのマネをして、もぐったり起き上がったり、ちょこちょこ忙しそうに動いています。
またもう少し川を下ったところでも、母カモと子供達を見ました。お父さんの姿はありません。母と子供達です。この母カモは、川の真ん中を上流に向かって泳いでいます。川の流れに逆らって、激流の中を、子供達を後ろに引き連れているのです。この先に広がる子供達の人生には、いくつもの障害があることでしょう。困難に立ち向かう術を教えているようです。母カモが、必死に子供達の命を守り、一生けん命生きていく術を教えている姿です。
命あるすべての姿が重なりました。人間も同じです。自分の体に新しい命が芽生えた時から、母となるのです。新しい命を守り、自分の命をかけて産み、幾多の困難を乗り越え育て、一人前にして世の中へ送り出すのです。男性には体験できないことなので、理解も難しいと思いますが、母性と父性は、根本的に違っていると思います。子供が生まれ出るその瞬間まで、母と子は一つの体です。もちろん生まれ出た時から、子供は母と違う人格を持った別の人間です。世の中へ出るまでは、父と母の愛情を受け養育されますが、独り立ちの日が来ます。その日のために、親は子に、生きていく術を教えるのです。鴨川で見た、いくつもの母と子供達の姿に感動しました。母カモの凛々しい姿から、人間も学ぶことがあるようです。「母は強し」です。
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