フランスからの客人は、お昼の新幹線に乗って福島のおばあさんのところへ向けて出発しました。私達は京都駅まで車で行き、そして新幹線乗り場まで行って見送りました。三泊四日という短い期間でしたが、幾世代も年下の若者との国際交流は、とても楽しく良い思い出になりました。
いろんな話をする中で、彼のお父さんはレバノン出身のフランス人ということを知りました。レバノンという国名は知っていますが、首都がベイルートということしか知りません。タブレットで少し勉強しました。西アジア・中東に位置する共和制国家で、北から東にかけてシリアと、南にイスラエルと隣接し、西は地中海に面しているとのことです。長い歴史の中では悲しい内戦や戦争があり、私が想像もできないほどの苛酷な過去があります。彼のお父さんが子供の頃に一家でフランスへ移住したそうです。親戚の人がレバノンに住んでいるので、彼はレバノンへ行ったことがあるとのことでした。日本から見るとヨーロッパは遠い国ですが、西アジア・中東の国々は、イメージもできないほどの遠い遠い国のように思われます。
彼が京都へ着いた日は夕方で、夕食を済ませた後に、三条通りから神宮道を歩き、平安神宮へ案内しました。夕方ということで観光客の姿はなく、平安神宮の門も閉まっています。それでも彼は大鳥居の大きさに驚き、写真を撮っていました。それから二条通りを歩いて帰りました。鴨川にかかる二条大橋からの、京の風物詩「川床」が美しく珍しい眺めだと喜んでいました。
二日目の夕食のあとは、鴨川三条大橋のふもとにあるスタバで、彼のおごりで食後のコーヒーを飲みました。テラスに座って眺める東山や大文字山、そして遠くには比叡山が見えます。梅雨の合間で雨は小休止です。気持ち良い風が川面を渡っていきます。時間を忘れておしゃべりしました。
次の日、彼は大阪へ行ったのですが、わりと早く京都に戻ってきたので、夕食の前に車で市内観光ということで、ドライブとなりました。夕方なのでお寺は閉まっていて入れませんが、観光客はいないので近くまで行くことができます。知恩院、八坂神社、清水寺、南禅寺を回り、最後に京都大学も一周しました。京大の前にフランス領事館もあります。ひょっとして将来留学生となって来るということがあるかもしれません。明日は京都とさよならということで、この日の夕食は我が家で食べました。ドライブから帰宅し、急いでパッパと簡単な料理を作りました。彼は「おいしいです」を連発し、喜んでくれました。牛肉と野菜を炒めたものと冷スープです。フルーツはさくらんぼを出しました。英語で、フランス語でさくらんぼの言葉を言ってくれましたがよく聞き取れませんでした。
二十歳の大学生である彼は、好青年です。初々しさがあふれています。優しく思いやりがあり、医師を目指している彼を応援したいと思います。彼が金閣寺でおみくじをひいたのですが、漢字が読めないとのことで、ポアロが読んであげました。おみくじは大吉でした。「あなたの望みは達成できます。帰り道には福に大当たりします」と書かれていました。三人で「大吉!大吉!」と、大喜びしました。前途洋々な彼に祝杯です!