2015年6月15日月曜日

お気に入りの場所

 京都市左京区にある南禅寺の近くに、私のお気に入りの場所があります。先日NHK-BSの番組「京都南禅寺界隈別荘群」でも放送されました。
 明治新政府が召し上げた臨済宗南禅寺の敷地を開発した後に建つ、広大な別荘群です。


  碧雲荘(へきうんそう)
  何有荘(かいうそう)
  龍山荘(たいりゅうさんそう)
  流響院(りゅうきょういん)
  清流亭
  有芳園
  真々庵
  無鄰菴(むりんあん)(旧山縣有朋別邸)
  清風荘(旧西園寺公望邸)
  智水庵
  怡園(いえん)(旧細川家別邸)
  旧上田秋成邸
  洛翠
  旧寺村助右衛門邸

その中でも私の一番のお気に入りは、白川通りから東方向へ入った道を進んだ、四方をお屋敷に囲まれた素敵な場所です。観光客にもあまり知られていません。いつもひっそり静まりかえっています。疏水からそれぞれのお屋敷に引き込まれた水が、道の際を流れ、その音が静寂さの中に際立ちます。広いお屋敷に人の気配はありません。手入れの行き届いた庭には、春は桜、枝垂れ桜がとても美しく、秋は紅葉、そして今の季節には、紫、薄紫、白など、色とりどりの菖蒲が、色鮮やかに凛とした姿を見せています。






先日夕方そこへ行ってみました。薄暗くなったお屋敷通りの生け垣の足元で、小さなカエルが大きな声を出して恋人を呼んでいました。2、30メートルほど離れた場所で、その呼び声に応えるかのように、小さなカエルが大きな声で鳴いていました。



 その場所に立つと、まるで異次元の世界のようです。政界、財界の大成者たちの権力と富が、感じられます。ほんのひとときですが、庶民の身から少し離れたような錯覚を覚えます。私達は、四季折々その場所を訪れ、非日常の気分を味わっています。

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