2012年3月22日木曜日

告知、最期のその時について(4)


星野一正氏は、告知に際して重要な点をあげておられます。

    患者が病状や不治の病についての告知を希望するかどうか事前に本人の意思を知る努力が必要である。

    誰であろうと生きる望みを失わせるような表現で告げる資格も権利もない。

    患者に嘘や作り話を言ってはいけない。

    医師を訪れる患者は治ってもっと生きたいと思っていると考えたほうが無難である。

    告知の時期を慎重に選ぶ必要がある。

    真実を知る権利を放棄する人には「真実を知らされたくない」 という自己決定権や「構わないでそっと放っておいてほしい」というプライバシー権を尊重して、告知するべきではない。

    患者の個人的な生き方にまで立ち入る権利は医師にはない。

    誰に告知するのか慎重に考える。本人の同意なくしてする家族への告知はプライバシーの侵害に相当する。病態からやむをえない事情がある場合に限り、家族または代理人に告知してもよいと考えるべきであるが、患者の意思に任せるのも一案である。

    誰が何をどのように告知するのか慎重に考える。

    告知後のアフターケアの必要性を認識する。

告知は大変難しい高度な医療行為であり患者の年齢・性別・既往症・発病以来の経過・現在の病状や予後の見込み・患者の気分・精神状態や感情の起伏など考慮し、患者に適した告知の仕方を研究してから告知するのが好ましい。

                      「医療の倫理」から

 告知後の患者の心理的変化は、否認、怒り、抑うつを、行ったり来たりしながら受容に至りますが、そう簡単なものではありません。どんなに身近な人間でも、当人の心の中を100パーセントキャッチすることはできません。しかし、手を取り合い泣いたり悔しがったり怒ったり、ありのままの思いを受け止めることはできると思います。当人が、一人で残りの日々を孤独で淋しい思いで、過ごすことは避けなければなりません。悲しみを一緒に共有したいと思います。

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