毎日アマガエルたちの姿を見るのが楽しみでした。夜には、庭にイスを出して、カエル合唱団に耳を傾けました。三匹のカエルに、名前も付けました。ケロタにケロコ、ピョンタです。ケロタは大将です。十日間一人で鳴き続け、ケロコとピョンタを呼びました。小さな体のどこから、こんなにも大きな声が出るのかと不思議に思うほどの大きな声でした。
マドモアゼルのケロコを、ムッシュのケロタとピョンタが囲み、二重唱が始まります。ケロタは相変わらずの大きな声で、ピョンタは少し遠慮がちに控えめに歌います。歌い始めも終わりも、あうんの呼吸でぴったりです。それには本当に驚きました。そんな楽しい日々が九日間続きました。
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ケロタの散歩 |
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緑の葉に乗るとすっきりツートンカラー |
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夜になるとのどを膨らませ大きな声でなきます |
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ピョンタは少し小さいようです |
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タライの左がケロタ、右がピョンタです |
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鉢の下が私の家です ケロコ |
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夜になると少しお散歩 コンクリートの色で登場 |
そして二日前のことです。朝からアマガエルたちの姿がありません。ぶどうの木の植木鉢の底に開いた小さな窓から、つぶらな瞳で顔を出すケロコがいません。どこへお出かけしたのかなと思いながら、夜のカエル合唱団を待ちました。日没から始まるケロタとピョンタの二重唱を期待しましたが、一向に声は聞こえず静まり返っています。突然、旅立ちの日が来たのかと、悲しくなりました。何か異変が起きたのかと思いました。アマガエルの生態は知りませんが、突然旅立つのかとも思いました。楽しかった日々がよみがえります。「あいさつなしでどこへ行ったの~」と、叫びたいほどです。気持ちは沈んだまま一日が終わりました。あきらめ悪く、二日目も期待しながらアマガエルたちの姿を探しました。姿はありません。いよいよお別れの時が来たのだと、自分に言い聞かせました。失意のまま夕食を食べている時です。7時半ごろでした。庭から二重唱が聞こえてきました。あわてて窓を開けました。窓のすぐそばにケロタの姿があります。ライトを当てるとこちらを見ています。
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ケロタ 壺の色に変身か?黒い色が消えています。 |
ピョンタとケロコはわかりません。二重唱が聞こえたので、近くにピョンタはいるはずです。こんな不思議なことが起こるとは、予想もつきませんでした。でも帰ってきてくれたのは事実です。外へ飛び出した私は「どこへ行っていたの?おかえり!おかえり!」とケロタに話しかけました。こちらの言うことを静かに聞いています。人間とコミュニケーションがとれると思えるほどの、アマガエルたちです。またしばらくカエル合唱団を聞くことができると、ハッピーになっています。
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