連日ニュ-スで取り上げられているメニュ-の偽装表示問題は、次から次へと広がっています。一流ホテル、名門百貨店、老舗旅館も同じ穴のムジナでした。消費者の立場からすると、とても信じられない事実です。一流、名門、老舗という言葉は、他より高くてもそれは当然、仕方のないことと捉え、その代わり百パ-セントの信頼を寄せていました。ここへきてその信頼は裏切られ、ブランド、一流、名門、老舗という名は、地に落ちたように思います。今迄も米、肉など偽装表示はありましたが、一流、名門、ブランドではなかったと記憶しています。「お客様は神様」という言葉は、死語になっているのでしょうか。我が身だけのもうけだけを、追求していたのでしょうか。トップの記者会見では、偽装表示とは認めていません。認識不足、確認不足による誤表示と言っています。お客様をこれほども馬鹿にしていたのかと、本当に驚いてしまいます。呆れ返ります。
世界から尊敬を集め、あこがれの目を持って日本を見てくれている外国に対し、恥ずかしい限りです。新渡戸稲造(1862~1933)の「武士道」に書かれている義・勇・仁・惻隠の心・礼・誠・名誉・忠義はどうなったのでしょうか。日本人としての誇りを失ってしまったのでしょうか。企業の利潤だけが、一番大切な目標なのでしょうか。どの世界においても人と人との信頼が、一番大切だと思っている私には理解できないことです。どんな人間にも良心はあると思っていますが、信頼を裏切って良心の呵責はなかったのかと尋ねたいものです。人間としてのたがが、ゆるゆるだったのかもしれません。
司馬遼太郎(1923~1996)が子供達に遺した「二十一世紀に生きる子供たちへ」を読んでもらいたいと思います。
「君たちは、いつの時代でもそうであったように、自己を確立せねばならない。自分に厳しく、相手にはやさしく。という自己を。そしてすなおでかしこい自己を。21世紀においては、特にそのことが重要である。21世紀にあっては、科学と技術がもっと発展するだろう。科学・技術が、こう水のように人間をのみこんでしまってはならない。川の水を正しく流すように、君たちのしっかりした自己が、科学と技術を支配し、よい方向へ持っていってほしいのである」
ずる賢い大人、卑怯な大人にはなってほしくありません。夏の甲子園の選手宣誓で若者たちが口にする「正々堂々と闘う」の言葉のように、正々堂々と生きて行ってほしいと思います。間違いに気づいた大人も、スタ-トに戻り正しい道を歩いてほしいと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿