2018年12月10日月曜日

東北へ(岩手県大槌町)


 賑やかに祝宴が続きます。私達と同じテーブルの高齢男性が、万歳三唱の音頭をとられました。大震災で大変な被害を受けた保育園の理事長をされている85歳の方です。保育園は、少し離れた高台に新築移転されています。食事をしながらその経緯をお聞きしました。理事長の決断、行動は早く、移転を早い時期に実行されました。園舎も園庭も以前より広くなり、現在は園児の数も増えて大槌の子供達がたくさん来ているとのことです。大震災が起こって3年後に、娘たちは支援金を寄付するために、保育園を訪れています。娘たちの結婚を、たいそう喜んでくださいました。
 鹿子踊りを披露してくれた子供たちも、一緒に宴に参加しています。あまり遅くなってはいけないので、祝宴は二時間半ほどでお開きとなりました。最後に記念の集合写真を撮っていただきました。総勢60~70人ほどです。いったんお開きとなりましたが、そのあとも二時間ほど宴の余韻で賑やかに過ごしました。伝承館館長さんや、遠野支援団体代表さんから、いろんなお話しを伺うことができました。お二方から娘たちのことを「自分の子供のようです。子供のように思っています」という言葉を聞いた時には、人との出会いが心に響きました。これこそご縁です。絆です。この日のために、どんなにご苦労をかけたかと思うとただただ感謝しかありません。
 翌日は、大槌町の被災状況、復興状況を見て回りました。バス一台をチャーターしてのプチツアーです。遠野支援団体代表さんも、被災者です。自宅の屋根の上に上がったまま、山にぶつかるまで流されたそうです。かろうじて命は助かりましたが、家もろともすべてを流されました。ご家族も命だけは助かりました。そのことが人生を一変させました。大震災をきっかけにして、これからの人生は人のために生きようと決心されたのです。 


大槌町旧役場は、あの日のままの姿です。巨大地震が起こって、町長をはじめ職員さんたちも表に出てこれからどうしようと相談していた時に津波が押し寄せてきたのです。全員が津波にのまれて亡くなられました。役場は機能を失いました。海岸から旧市街地まで津波に消されてしまったのです。荒涼とした広い土地が続いています。旧役場を遺構として残すのか残さないのか、まだ決定が出ていないとのことです。



旧役場から歩いて行ける所に、盛り土をした所に、大槌町文化交流センター「おしゃっち」が、今年の春にオープンしています。コミュニティーのための新しい施設です。あの日の写真パネル展がされていました。皆が写真を見て、あの日を思い出します。この日は子育て支援フェスタが開かれていて、たくさんの子連れファミリーで賑わっていました。
  




大槌で有名なものと言えば「ひょっこりひょうたん島」のモデルとされる蓬莱島です。井上ひさし原作、NHKで放送されたテレビ人形劇です。東京オリンピック開催と同じ1964(昭和39年)に放送が始まったので、ずいぶん前のことです。突堤の先の近くにある「ひょっこりひょうたん島」へ皆が行きました。小さなかわいい島で、赤い灯台と小さな祠があります。大震災で壊れましたが、今は復旧されています。 




次に城山城跡展望台へ行きました。大槌城があったところです。穏やかな海が見えます。遠くまで見渡せられます。犠牲になられた方の墓碑銘がありました。




被災地のあちこちでは、本当にたくさんの方が犠牲になっておられます。テレビの報道番組を観ている時、各ポイントごとの情報は得られますが、現地へ足を運び自分の目で確かめることの重要さを思い知りました。


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