2018年12月3日月曜日

東北へ(岩手県陸前高田市)


 2時前に岩手県陸前高田市に入りました。最初に目指すのは、奇跡の一本松です。テレビでよく見た奇跡の一本松が、遠くからでも見えてきました。胸が熱くなります。震災前は、美しい松原が続く景勝地だったそうです。約7万本の松の木がありましたが、大震災で全滅したった1本だけ残ったのです。国道から山側は12mほどのかさ上げがされて、ほぼ出来上がっている状態です。一本松から1kmほど離れた所に、広い駐車場が用意された一本松茶屋があります。観光バスで来た人も、乗用車で来た人も、路線バスで来た人も、すべての人が一本松まで歩かねばなりません。




一本松の近くには、元々あった道の駅の廃屋が残っています。その横には新しい道の駅が建設中でした。ずい分大きな建物になるようです。奇跡の一本松は、その存在だけで被災地の希望です。被災された方々の希望につながります。あの日陸前高田の町は津波に飲み込まれました。人々はその地を離れ、戻ることはありません。行政が、住んではいけない地域と決めたのです。津波に襲われた所からかなり上がった所には、新しい住宅が建てられ、かさ上げして造った新しい商業施設ができ、いくつものお店が並んでいました。この日の夕食は、ここで食べました。
  



予約を取ったホテルは、ずいぶんと山へ入ったところにありました。「クマ出没!注意!」という看板があるのには驚きました。ホテルの人に確認すると、今年の6月頃に目撃されたそうです。人間が住んでいる地域に、クマが下りてきたとは、大変な時代になったものです。







夜中から降り出した雨は激しくなり、次の日は雨の中での移動となりました。少し離れた所に気仙沼大工左官伝承館があったので寄りました。立派な茅葺きの建物は、気仙沼大工左官により新築で再現されたとのことです。重厚な伝統的日本家屋でした。屋内は黒光りしている板張りの床です。歩くのがとても気持ち良いです。始めに大きな囲炉裏のそばに座り、ボランティアの女性から説明を聞きました。気仙沼大工左官は、全国に出向いて立派な神社仏閣の建築に携わったそうです。歴史は古く名だたる神社仏閣に関わっています。気仙沼大工左官の技術技能は高度で、あちこちから要望が来たそうです。説明の終わりに大震災の時の状況を話され、阪神淡路大震災の時に作られ、東日本大震災の時に贈られた歌を歌われました。歌を含め、語り部として後世へ伝えたいという想いを聞いて、胸がジンとしました。「東北へ足を運んでいただき本当にありがとうございます」と、結ばれました。そのあと見学をしましたが、11時に大船渡でお約束が入っていたので、私達は少し急いで見学を終えました。



陸前高田でもう一ヶ所見たい所があったので、雨の中を急ぎました。何度も東北へ足を運んでいる娘たちの推薦の古いお寺「普門寺」です。気仙沼大工が建てた臨済宗の古刹です。山裾にあります。激しく降る雨の中、人の気配は無く、雨に濡れた木々や本堂、お寺の屋根がしっとりした風情を醸し出しています。時間が迫ってきているので、外から写真を撮るだけで終わりました。





もっともっと観光名所はあると思いますが、時間が無く雨の中を、陸前高田から大船渡へと車を走らせました。

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