2016年4月13日水曜日

思い出の中の歌「朧月夜」

 春の宵、空を見上げると朧月が出ていました。月光という明るさはありません。ぼんやりとかすんでいます。朧月を見ると、子供の時に歌った「朧月夜」が思い出されます。ふるさとの山、ふるさとの川、ふるさとの田園地帯、ふるさとの人々が、映像のように頭に浮かんできます。そしてにぎやかな蛙たちの大合唱が聞こえてくるようです。


 私が子供の頃は、菜種油をとるために、たくさんの菜の花畑があり、黄色一色の美しい光景は、春の風物詩でした。時は流れ、いつのまにか菜の花畑は姿を消していきました。今では、川原や土手、畦道などに、自然に生えた菜の花を見ますが、菜の花畑が広がる景色はないように思います。


 唱歌「朧月夜」は、日本の原風景のようです。作詞高野辰之(1876~1947)、作曲岡野貞一(1878~1941)の名曲です。高野辰之は長野県中野市、岡野貞一は鳥取県鳥取市の出身です。「故郷(ふるさと)」「春が来た」「春の小川」「紅葉(もみじ)」など有名な唱歌が、二人のコンビで生まれています。

   「朧月夜」

菜の花畠に 入日薄れ
見渡す山の端 霞深し
春風そよ吹く 空を見れば
夕月かかりて 匂い淡し

里わの火影も 森の色も
田中の小道を 辿る人も
蛙(かわず)の鳴く音(ね)も 鐘の音(おと)も

さながら霞める 朧月夜 

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