今日は娘も誘って、三人でサイクリングに出かけました。田園地帯では、あちこちで稲の刈り取りが行われています。今は農業も機械化が進み、たくさんの人の手を使わずに刈り取りができます。大きなコンバインは、稲を刈り取り、同時に脱穀しどんどん袋へ詰めていきます。コンバインには、人間が一人乗っているだけです。私が子供だった頃の稲刈りとは、大違いです。たくさんの人の手を借りて、背中や腰を痛めるほどの、鎌を使っての稲刈りでした。稲が刈り取られた後の田んぼには、白鷺や青鷺、カラス、スズメなど、いろんな鳥達が集まってきています。自然界の共存、共生を思ってしまいます。
今から○十年前、二十代の私達は、上の子が一歳にもならない頃、三人でサイクリングによく出かけました。ポアロ(夫)の自転車の前の部分に、小さい子供を乗せるイスを取り付けて、娘を乗せて走りました。田舎の風景を見ながら、山すそまで遠出しました。風をきって走ります。幼い娘は、キャッキャ、キャッキャと声を上げて喜びます。そんな懐かしい思い出を脳裏に浮かべながら、私はポアロと娘の後を追ってペダルを踏みました。
この日は、思いがけず懐かしい集落を通りました。私の祖母の実家がある村です。私は幼い頃、祖母に連れられその家へ何度か行きました。昔のことです。車はありません。バスも通っていない田舎の村です。家から歩いて二時間ぐらいかかる、山すその行き止まりの村でした。私は乳母車に乗せてもらって祖母のお供をするのですが、いつも面白い話を聞かされていました。今は開発も進み住宅もたくさん建っていますが、六十年ほど前は、何も無い田園地帯と丘陵地帯の林の中を通りました。祖母はいつも油揚げを一袋用意して、林の中へ入る辺りで、その油揚げの袋をポンと道の脇へ置きます。キツネが出てきて騙すので、騙されないように先手を打って、キツネに油揚げをやるのだと言うのです。祖母は真剣な顔つきで、キツネの話をよくしていました。私はいつまでその話を信じていたのか、よく覚えていませんが、今となったら笑い話でも、昔から言い伝えられてきている、人間とキツネの関わりごとだったのかもしれません。
今はその集落に沿って新しい道ができています。行き止まりだった村も車が通り抜けられるようになり、車社会となった現在は、町の中心地へもすぐ行けるようになりました。この日は自転車で通り抜けただけなので、祖母の実家がどこだったのかよくわかりませんでしたが、またいつかゆっくり訪れてみようと思っています。
今日のサイクリングは、所要時間100分ほど、走行距離は15キロでした。遠く過ぎ去った昔を思い出させてくれました。
0 件のコメント:
コメントを投稿