2020年2月28日金曜日

思い出の中の歌「かあさんの歌」


 春だ春だ春が来たと喜んでいたところ、ここ数日は冬に逆戻りです。寒い冬と結びついている思い出がよみがえります。私が小学校高学年、二人の姉が中学生と高校生、兄が大学生の頃です。冬の夜のことです。兄がテープレコーダーを買ってきました。初めて見るテープレコーダーです。兄妹4人が集まって、物珍しいテープレコーダーに興奮です。兄が、ラジオから録音した歌がありました。「かあさんの歌」です。初めて聞く歌で、すぐにお気に入りの歌になりました。兄が、テープレコーダーを操作します。おしゃべりする私たちの声を、録音しました。初めて聞く自分の声です。とても変に思えて、大笑いしてしまいました。兄妹4人が、盛り上がってやかましくしている頃、父や母や祖母は何をしていたのか思い出せません。私たちのそばにはいませんでした。その記憶はあります。かしまし娘三人は、「かあさんの歌」に合わせて歌います。それを兄が録音します。テスト録音で、何度もくり返します。無邪気な私は、楽しくて嬉しくて意気揚々と歌います。懐かしい子ども時代のひとコマです。農家の茶の間は、台所や食堂が一続きの土間に面しています。父や母や祖母は、時々土間で夜なべをします。母は編み物や繕い仕事を茶の間でします。「かあさんの歌」の通りです。「かあさんの歌」は、思い出すと胸にじんとくる思い出の中の歌です。日本人の誰もが持っている、心のふるさとに繋がる素晴らしい歌だと思います。

「かあさんの歌」
           作詞・作曲 窪田 聡

       かあさんが 夜なべをして
       手袋 あんでくれた
       木枯らし吹いちゃ 冷たかろうて
       せっせと あんだだよ
       ふるさとの 便りはとどく
       いろりの においがした


       かあさんは 麻糸つむぐ
       一日つむぐ
       おとうは 土間でわら打ち仕事
       お前も がんばれよ
       ふるさとの 冬はさみしい
       せめて ラジオ聞かせたい

 *作者の窪田聡は、アコーディオンを弾きながら歌ごえ運動に専従していて、この歌は昭和31年2月に詞とメロディが殆ど同時に完成したそうです。

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