先日ふるさとに初雪が降りました。朝七時頃出勤する娘を見送るために外へ出ると、車に少し雪がかかっていました。ふるさとの山々も薄っすらと雪化粧でした。ふるさとは、三重の中勢部なのであまり雪は降りません。大雪となったのは記憶にある限り数回です。
子どもの頃には、雪が珍しく嬉しくてはしゃぎ回りました。歩きまわって、庭一面に積もる雪に足跡をつけるのが楽しみでした。母は、雪うさぎを作ってお盆にのせました。目は南天の赤い実です。雪の楽しい思い出です。母が亡くなったのは、二十数年前の一月ですが、七日ごとの法事に毎週実家へ足を運びました。その頃は、雪がよく降り、何回か大雪に見舞われました。母に先立たれた父の寂しさを慮り、厳しい寒さの中、四十九日まで通いました。悲しい雪の思い出です。
三十代の頃転勤となり、初めての東京暮らしがスタートしました。東京暮らしの初めての冬は、何度か大雪となりました。東京はこんなに雪が降るのだと驚きましたが、雪が珍しい私には嬉しいことでした。武蔵野の面影を残す社宅の広い庭が、雪に覆われて美しい雪景色になり、素敵な思い出を作ってくれました。雪の重みに、駐輪場の屋根が押しつぶされ、ひと騒動を起こしたのを覚えています。
数年後東京から名古屋へ転勤となり、三重の北勢部に念願の一戸建てを手に入れました。鈴鹿山系が連なり、木曽三川が流れる、三重、岐阜、愛知の県境です。ここは滋賀県の伊吹山から伊吹おろしが流れこむところで、冬は冷たい風と雪もよく降ります。冬には町内の道路の雪かきを、何度もしました。二年後ポアロは東京へ単身赴任となり、私は仕事も忙しい中、難しい年頃の子育てを一身に負いました。二匹の愛犬を家族として迎え、忙しくも楽しく賑やかに、毎日が過ぎて行きました。大雪の時には、家の裏の広い公園へ愛犬とともに出かけました。二匹の愛犬と、雪の中を走り回りました。愛犬の名前は、レオとナルドです。家族皆が大好きなレオナルド・ダ・ヴィンチからもらった名前です。ポアロの単身赴任は、八年も続きました。この頃私は四十代でした。雪が降ると、雪との思い出がよみがえります。楽しく面白く、そして悲しく寂しくもある雪との思い出です。
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