2015年9月18日金曜日

夏の思い出(7)奈良平城宮跡

 フランスからの客人を案内する日帰りツアーです。この日は暑さ厳しい中、第一の目的地へ行く前に少し立ち寄るという気持ちで奈良の平城宮跡へ行きました。奈良市西大寺に近いところです。私達が奈良に住んでいた三十年~四十年前に比べて、平城宮跡は整備され、建物が順次復元されています。朱雀門、平城宮跡資料館、遺構展示館、第一次大極殿、平城京歴史館、東院庭園など立派なものが建ち、時の流れをあらためて感じます。




 休日にはお弁当を持って、小さい子供達をつれて、平城宮跡へピクニックに出かけました。懐かしい思い出です。広大な土地に立派な都があり、たくさんの人達が住んでいたという千三百年前の情景を思い描くのは楽しいことです。平城宮跡の真ん中を、近鉄奈良線が通っています。カラフルな色の特急電車や、にぎやかな宣伝が描かれた急行電車に、興味をもったフランス人の彼は、たくさん写真を撮ります。広大な土地は、広い駐車場をとっても、まだまだ広大です。周りには背の高い葦が群生しています。中心部はイベントが催される場所として、またまた広大なものです。8月の終わりに平城京天平祭が開催されるとのことで、その準備がされていました。遠くに若草山や東大寺大仏殿の大きな屋根が見えます。





私の胸の中に、いろんな思いが去来します。普段はすっかり忘れてしまっていることが、懐かしい地に立つと怒涛のように押し寄せます。若かりしあの頃、子育てと仕事に必死で無我夢中だった日々。胸があつくなります。我ながらよく頑張ったものだと目も潤みます。私は日傘をさして、みんなの後を歩きます。平城京歴史館の復元遣唐使船に入りたいと、フランス人の彼は外国人優待無料パスで見学に行きました。あまりの暑さにバテ気味の私達は、すべて知っているかのように休憩所で待ちました。




 平城宮跡でゆっくり過ごしたあと、私達が以前住んでいたニュータウンへ寄っていこうということになりました。私達が住み始めた頃は、駅も仮のものでした。立派な駅ができ、町はどんどん成長し大きくなりました。今では奈良県と京都府にまたがる関西文化学術研究都市として、一流企業の研究所も多くあり、国内外から研究者が集まってきています。当時は小さなスーパーが一つだったのが、大きなショッピングセンターができてたくさんの客を集めています。病院も大きな立派なものになりました。私達は公団の賃貸マンションに7年、分譲マンションに4年の計11年を、このニュータウンで過ごしました。結婚して新生活をスタートさせ、二人の子供が生まれ、上の子が十歳になる年に東京へ転勤となり、この地を離れました。子供達が通った幼稚園や小学校の正門で写真を撮りました。二つのかつての我が家の前でも写真を撮りました。娘は、フランス人の彼に、懐かしい地をいろいろ説明しています。私は、懐かしい思い出とともに、この地と別れた淋しさを感じました。

7年過ごした賃貸マンション
4年過ごしたマンション:すぐ前がスーパー、横に小学校と便利でした


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