先日新聞を読んでいて胸を打つ言葉に出会いました。
「さみしきがさみしき背中眺めつつ」
人間の孤独感が滲み出ています。人間がこの世に生を受け、何年かの人生を生き、いつの日か旅立ちます。一人で旅立ちます。皆平等にいつかその日が訪れます。人間は皆孤独です。人間は皆一人ぼっちです。日常生活の中で生活に追われ、ふと立ち止まることはあまりありません。一人ぼっちがたくさん集まって、家庭を地域を社会を構成しています。「人は皆孤独」ということを知っていれば、他者がどれほど愛しく、大切な存在であるかに気づくのではないでしょうか。そして他者の存在がどれほどありがたいことかを知り、謙虚な気持ち、感謝の気持ちを持てる人になるのだと思います。
何年か前に登場し、社会に定着した「おひとりさま」は、他者との関わりに少し距離をとって、煩わしい人間関係の中で「おひとりさま」を気にせず、堂々と「おひとりさま」を楽しむといった流れになったように思います。レストランにも「おひとりさま」が何も気にせず、肩身が狭いとも感じず、利用できるような「おひとりさま」の席が用意されるようになりました。「おひとりさま」に配慮されています。書店には「おひとりさまの○○○」といった本が、たくさん並んでいます。「おひとりさま」この言葉からは、人間の孤独感はあまり感じられません。孤独感よりも、自分が積極的に選んだ生き方、前向きな生き方、自負した先進的な生き方が伝わってきます。しかし「おひとりさま」の心の中はわかりません。
「さみしきがさみしき背中眺めつつ」この言葉では、さみしいと思っている人、一人ぼっちだと思っている人が、他者の心の中も自分と同じくさみしく、一人ぼっちと思っている人だと捉えています。
「さみしきがさみしき背中眺めつつ」私はこの言葉がとても気に入りました。日々の暮らしの中で呪文のように口ずさみたいと思います。そうすればもっともっと心の広い人になれるような気がします。