2024年3月20日水曜日

発掘された原稿(2)

 「母」(2)

  警察官の父と、華道の師匠の母の元に、長女として生まれ、子供のときに、母、父を相次いで亡くし、二人の妹と一人の弟の母のような存在であり、全く経験したことのない大百姓の一人息子のところに嫁ぎ、戦争へ行く夫を見送り、留守の間、家を守り、六人の子供を産み、そのうち二人は亡くし、敗戦後は、夫婦力を合わせて、新しい生活の開拓に挑み、悲しみにも負けず、苦労を苦労とも思わず、たくましく生きて来た母・・・・  

 それに比べ、両親の暖かい庇護のもとで、何の苦労もなく生きてきた自分・・・・その生い立ちの差が、母親としての違いにも現れているのでしょうか。やはり人間は、苦労を経験して生きて行くことの方が、尊いのでしょう。

    続く

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