先日フランスから驚きのニュースが届きました。在仏18年の娘が、フランスの公共放送局ラジオフランスに出演するというものです。南仏モンペリエの大学へ留学し、たくさんの人のご縁を頂き音楽関連で仕事をしている娘です。毎年夏にモンペリエでラジオフランスの主催による音楽フェスティバルが開催されています。有料、無料のものもありの、開かれた音楽祭です。3年前に渡仏した私たちは、音楽祭に出かけ楽しませてもらいました。その音楽祭で、娘は十年にわたりオペラの字幕を担当してきました。仕事の仲間もたくさんいます。今年の音楽祭は、コロナ禍で開催できませんでした。人がたくさん集まるコンサートは禁止となったのです。そんな状況下ですが、ラジオフランスはいろんな工夫をして音楽ファンを楽しませてくれました。幅広い音楽の提供と、著名な音楽家への単独インタビューと演奏など、どこにいても聞けるものでした。私たちも、日本にいながらにしてモンペリエ発ラジオフランス夏の音楽祭を楽しむことができました。そんなプログラムの中に、娘へのインタビューがあったのです。
現代は世界をネットが結んでいます。ポアロは、腕前を発揮しました。パソコンとオーディオを繋ぎ、スピーカーからきれいな音質で聴けるようにセットしました。フランスと日本の時差が、夏の間は7時間あります。娘から日時を聞いています。向こうの夕方5時から7時の時間帯です。日本時間では、夜中の0時から2時です。眠い目をこすりながら、スピーカーの前に鎮座しました。民族音楽が流れ、女性オペラ歌手の歌が聞こえてきます。世界的に有名なプリマドンナです。彼女へのインタビューが始まりました。合間々にはソロが入ります。一時間が経過しました。そろそろ娘の登場かなと耳を澄まします。1時が過ぎて現代音楽が始まりました。2時間の番組の中で、娘は10分のインタビューで出演することになっています。深夜になってそろそろ限界です。何かの事情で変更になったのかもしれないと、諦めることにしました。
後日娘から連絡が入りました。日時の変更が起こり、放送は終わってしまったとのことです。しかし音源はもらったので、メールで送るから聞いてとの連絡です。ポアロはパソコンとスピーカーを繋ぎました。インタビューが始まりました。ソフトな物腰の優しい若手男性のインタビュアーの声です。フランス語を聞くのは久しぶりです。娘のフランス語が聞こえてきます。ラジオフランスの夏の音楽祭のスタッフとして参加している娘は、異色の存在です。ラジオフランスはパリからスタッフが出向いて、モンペリエで20日間の音楽祭を開催しています。
遠い日本から来ている娘が、どんな経緯で関わるようになったのかは、みなさんの興味をひくところだと思います。そんな話をしているようです。留学から始まったフランス暮らしが、たくさんの人のご縁で幅広い音楽関連の仕事に携わっているのです。ピアニスト、ピアノ教師、オペラ座のスタッフなど何足もの仕事をこなしています。たった10分のインタビューです。またまたフランス語熱が再燃しそうです。かつてフランス語をかじり学んだ私ですが、ほんの少し知っている単語を聞きとれました。フランス語の魅力は、言語の美しさでしょうか。子守歌になるようなきれいな流れです。かじるばかりの私はマスターできずに、つくづく後悔先に立たずを感じています。
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