今の季節、休耕田にコスモスが植えられているのをよく見かけます。秋桜と書くだけで、あるいは口にするだけで、胸にジーンとくるものがあります。
さだまさし作詞・作曲の「秋桜」は、結婚を間近にひかえた娘と、送り出す母の心情をよく表しています。この歌詞のように、私も母と二人で庭一面に荷物を広げて荷造りをしました。親の愛情に包まれて過ごした今までの日々に訣別し、新しい人生に飛び込む覚悟との狭間で、複雑な胸の内でした。不安と期待と喜びが入り交じり、片方では家を出て行くのだという切なさと哀しみ、親から離れるという淋しさもありました。毎年のことながら、風に揺れる秋桜、美しく咲く色とりどりのたくさんの秋桜を見ると、あの日のことを思い出します。この歌を口ずさむと目が潤んできます。
「秋桜」
淡紅の秋桜が秋の日の
何気ない陽溜まりに揺れている
此頃涙脆くなった母が
庭先でひとつ咳をする
縁側でアルバムを開いては
私の幼い日の思い出を
何度も同じ話くりかえす
ひとりごとみたいに小さな声で
こんな小春日和の穏やかな日は
あなたの優しさが浸みて来る
明日嫁ぐ私に苦労はしても
笑い話に時が変えるよ
心配いらないと笑った
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