先日、私の大好きなデユオボ-カル「トワ・エ・モア」のヒット曲の題名のようなことが起こりました。明け方のことです。トイレへ行こうと思い、いつものようにガバッと起き上がったのですが、頭がフワッとして目がくるくる回るのです。これは何だ、どうしたのかとパニックになりましたが、こわくて歩けません。しばらくリビングのイスに座り、静かにして治まるのを待ちました。時間的には短いものでしたが、不快感はあります。そのあと横になるのがこわくて、ずっとイスに座っていました。救急車を呼んで病院へ行く必要があるのか、ないのかと不安な気持ちで朝を迎えました。しかしそのあと大したこともなく、一日が過ぎました。日中は何の支障もなく、自転車に乗ったり、買い物に出かけたりして、今まで通りの生活が送れます。自然に治るだろうと軽く考えていました。夜寝る時には、気をつけて静かに体を動かしたり、横向きで寝たりして一週間を過ごしました。ただ寝ることが、今までは極楽極楽と言いながら、大の字になって寝られたのが、寝ることに不安を感じるようになってしまったのです。寝るという最高の寛ぎの時間に緊張している自分に気がついたのです。そして家族の勧めもあり、意を決して病院へ行くことにしました。目まいといえば、大体の人が脳神経外科へ行くと思いますが、私は十八年ほど前から耳鳴りが起こっていて、それも病院へ行かず放置していたら、だんだん聴力が落ちてきていたので、まずは耳鼻科へ行きました。
同世代と思われる初老の医師でした。いくつかの検査をして「メニエルに近いものだと思われます」とのことで、飲み薬が五日分出されました。私が最近眠れなくなっていることを伝えると、医師は「私も眠れませんよ。明け方の三時、四時まで深夜便を聞いています。深夜便ご存知ですか、NHKの。睡眠五時間とったら充分ですよ。人間疲れきったら眠るものです。薬は飲まない方がいいです。逆によく眠れる方が問題です」とおっしゃいました。私の周りには、眠れないと医師に訴えるとすぐ薬を処方され、飲み続けている人が多いのですが、今回出会った医師(珍しい?)もおられることを知って、驚きました。医師のセリフを聞いて、私は笑い出しました。患者と医師が同じ悩みを持ち、同じ考え方をしていたということが、とても面白かったからです。そしてもらった薬を飲んで寝たのですが、久しぶりに気持ちのよい睡眠がとれました。
五日後に再び病院へ行きました。今度は四十代の息子さん医師でした。薬の効果を話すと「メニエルではありませんね」とのことで、私が「病名は何ですか?」と尋ねると「目まい症ですね」と言われました。前回と違う飲み薬を一週間分もらい、様子をみることになりました。今のところ目まいは起こっていません。
今、私は「ある日突然」の歌を口ずさみながら、苦笑いしながら、老いの坂の一歩を歩き出しました。
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