かあこちゃんの小さい時のお話です。
かあこちゃんは、一年生。
とっても元気な女の子。
家族は、おじいさん、おばあさん、お父さん、お母さん、お兄さん、二人のお姉さん、黒牛のタロ、乳牛のハナとモモ、やぎのメリ、たくさんのにわとり、ねこのミイ、大の仲良しの犬のレオ。
学校で家の話をする時、かあこちゃんは大きな声で、身ぶり手ぶり一生けんめい話します。家族みんなの話をすると、とても時間がかかります。でもクラスのみんなは「それでどうなったの?教えて教えて」と、かあこちゃんの話を、楽しみにしています。
ある日「みんなで、かあこさんの家へ、見学に行きましょう」ということになりました。かあこちゃんは、びっくりして恥ずかしくなって、胸がドキドキしてきました。でも、ちょっぴり得意な気もしました。
その日は、とってもよいお天気でした。ハナとモモの乳しぼりを、お母さんが、見せてくれました。お母さんの手に握られたおっぱいから、勢いよくシューシューと音をたてて、お乳が出ています。どんどんバケツが、いっぱいになっていきます。みんなは「ワーッワーッ」と、歓声をあげています。ハナもモモも、目をパチパチさせて、小さなお客さんに驚いています。でも、おっぱいをしぼってもらって、気持ちよさそうです。
次に、お父さんが、たくさんのにわとりがいる鶏舎を、案内してくれました。生まれたばかりの卵が、ならんでいます。お父さんは、われないように、ていねいに集めます。「ワーッあったかいよ」誰かが、卵にさわりました。「生みたてだからね」お父さんが、言いました。みんなは町の子なので、店で売っている卵しか知りません。「かあこちゃんずるいー」ブーブー言っている子もいます。
次に、田んぼへ行きました。おじいさんが、タロと働いています。力を合わせて、耕しています。タロは、力もちです。田植えの準備です。みんなが見ている間に、どんどん耕されていきます。「タロは、すごいなあ」と、みんなは感心しています。
次に、畑へ行きました。おばあさんが、働いています。草をとる仕事も大変です。おばあさんは、体を起こし「よう来たなあ、ゆっくり見ていってなあ」と、言いました。
かあこちゃんは、畑でとれるいろんなものの名前を言いました。「人参じゃがいもたまねぎ、ねぎ大根きゅうりかぼちゃ、トマトピーマン白菜キャベツ、いんげんえんどうさつまいも、落花生とうもろこし、スイカメロンイチゴ、にんにく大豆小豆、えーっとそれから」「すごーい、八百屋さんみたい」みんなが叫びます。「やぶでは、柿栗みかん夏みかん、ゆずびわいちじく、それから竹の子、えーっとそれから」「すごい、すごい」歓声があがります。かあこちゃんは、鼻高々です。この日の見学は、終わりました。みんなは、興奮して帰りました。 つづく