先日我が家の自称土木学会で、蓮ダム(はちすダム)へ出かけました。会長である娘の案内で、車に乗せてもらってのドライブを楽しみました。蓮ダムは三重県松阪市飯高町にあります。一級河川櫛田川水系蓮川に建設されたダムです。三重県内では唯一の国交省直轄ダムとのことです。伊勢湾台風(1959昭和34年)では大きな洪水被害が出て、ダム建設計画が持ち上がりました。しかし住民の激しい反発もあり、計画は難行し計画発表より20年後の1991年(平成3年)に完成しました。
自宅からほぼ一時間で到着しました。この日は良いお天気に恵まれ祝日ということで、私たち以外にも訪れる人の姿がありました。何台かのオートバイで群れをなして走るグループもいました。深い山の中に大きなダムが静かに美しく、そして威厳をもって横たわっています。その魅力に吸い込まれそうです。始めに展望台があったので上りました。30メートルほどの高さで、階段が続いています。若い人たちはさっさと上っていきますが、私は時間をかけてゆっくり上ります。頂上に上るとダムが一望できます。ダムの深さは80メートルほどあります。このダムの底には村が眠っています。奥深い山の麓で人々は暮らし、歴史を重ねてきました。自分たちの大切な村、生きた証の村がダムの底に消えたのです。どれほどの悲しみ苦しみがあったことでしょう。ダム建設のために、この地域にあった四つの村は廃村となり、人々は移住をしなければなりませんでした。小学校もありました。廃村となり人がいなくなった村には、碑が建っているだけです。
(まるこ記)
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