ピアノの道を一筋に歩んできた私は、かつてはピアノの大曲難曲を暗譜で弾いていました。それははるか遠い記憶の中の私です。今の私は暗譜してピアノを弾けません。記憶力は低下し、視力も悪くなっています。ピアノを弾く時には、一度にたくさんの音符を正確に読まねばなりません。かつての私は、1.8~2.0ほどの視力でした。楽譜をほぼ完璧に読みとって弾くことができました。老眼が始まりメガネをかけてピアノを弾くことのうっとうしさには、ピアノを弾く意欲も落ちました。それでもピアノが大好きな私は、ピアノを弾きたいという想いが沸き起こる時は没頭してしまいます。私にとって、ピアノはただの楽器ではありません。人生を共に歩んだ大切なパートナーです。喜びも悲しみも苦しみも、いつもそばで私を見守り続けてくれているピアノなのです。
何年か前から視力が落ちたつらさをカバーするために、目を閉じて歌を歌えるように歌詞を覚えるようにしています。歌詞を正確に覚えるのも簡単ではありません。馴染みある歌でも、一番、二番、三番と正しくは覚えていません。うろ覚えです。一曲を正しく歌えるレパートリーは、まだほんの少しです。目を閉じて歌うことは、歌詞の意味を深く理解できるように思います。作詞家の想いが伝わってきます。最近では、娘のピアノ伴奏で私は目を閉じて歌います。仕事で忙しい娘ですが、娘もピアノは大好きです。時々私に付き合ってくれます。目を閉じて歌える曲を、もっともっと増やしていきたいと思っています。
目を閉じて歌うのと同様に、目を閉じてピアノを弾くことにも挑戦したいと思っています。私の大好きな天才ピアニスト辻井信行さんは、目が見えないハンディを乗り越え素晴らしい演奏を届けてくれています。本当に偉人です。目が見えないというハンディが、違う目の才能を開花させてくれているように思います。彼の演奏は心に深く沁みこんできます。
長年視力を頼りにしてきた私が、目を閉じてピアノを弾くというのは至難の技だと思いますが、まずはバイエル教則本から始めてみようと思います。
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