今年の夏の暑さは本当に厳しいものでした。家にいる時はエアコンのおかげで何とか暑さをしのげますが、一歩外へ出ると大地が唸っているような酷暑です。猛暑よりも酷暑の方がふさわしく思います。外へ出るのを控えるといっても、やっぱり暮らしの中では、いろいろと用事ができるものです。私は外出した時、四十度近い気温の中を黙々と歩きます。修行僧のように、今自分は行をしているのだと心の中で呟きながら歩きます。
我が家にフランスからの嵐が上陸し、一ヶ月があっという間に過ぎて嵐が去ったあと、私はいけ花の家元道場へ、三期目の勉強に行きました。伝統的ないけ花は、洗練された形を作り上げています。教わった通りにいけると、下手なりにも形ができ上がります。しかし自由花はいける人の創作です。いつもテ-マがあります。私はテ-マを「夏の終わりに」とし、ヒマワリで厳しい夏の暑さを表現し、夏の終わりに夏から秋へと移り変わる秋の訪れを、ススキとコスモスに表現しました。もちろんそれだけではなく、ナツハゼやタマシダも使いました。花器も重要な役目をします。夏の表現にはガラス花器を、秋の表現には陶器がよく似合います。テ-マを「夏の終わりに」とした私は、自然が感じられる陶器を選びました。先生の手直しを受けて「“夏の終わりに“が感じられますね」との言葉をもらい、この夏の厳しい暑さと、フランスからの嵐と、私にとって忘れられない今年の夏が、走馬燈のように頭をかけめぐっていきました。
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