先日NHKの番組「心の時代」に、私が所属しているボランティア団体「日本傾聴塾」の提唱者村田久行氏が出演されました。身近な人がNHKに出演されるというのは、とても嬉しく興奮しました。二十年前山形県で特養ホ-ムを訪問し、高齢の方からお話を聴くボランティアを一人でコツコツ始められました。傾聴ボランティアと命名され、養成講座を開講し、その後神奈川、札幌、庄内、京都、大阪、徳島、山口と日本各地に広がり、現在会員総数は五百名を超えています。それとともに傾聴という言葉もたくさんの人に知ってもらうこととなりました。
番組の中で村田久行氏は、女性末期ガン患者との傾聴を通しての出会いを話されていました。女性は母親との確執わだかまりを、長い間心の奥に持ち続けてきましたが、傾聴ボランティアの援助によって、それらが少しずつ解けていき、母親との信頼関係を取り戻し、自分に対する母親の愛情も再確認し、やがて訪れる自分の命の終わりも受容することができるようになり、穏やかな最後の日々を過ごされたそうです。死というものが恐怖でなくなり、生と死が続いている永遠の命を手にされたのだと思います。傾聴が、宗教も医療も手の届かない魂の援助になるのだと思います。
私が傾聴ボランティアに出会ったのは十一年前のことです。ホスピスや高齢の方々を訪ね、そばに寄り添い、ただひたすらお話を聴くのです。心をこめて、全身で耳を傾けて聴くのです。人の悩みや痛み苦しみが、お話を聴くことによって大きな援助となります。養成講座を受けて、理論と実践を学び、修了書を手にすれば晴れて傾聴ボランティアの会員となり、現場での実践が始まります。たくさんの人との出会いがあり別れがあり、私の傾聴ボランティアの経験はとても貴重なものとなりました。しかしここにきて退会せざるを得ない状況となり、退会を決意しました。まんたん(義母)の認知症発覚以来、今迄の生活が一変し、自分のいる現状がこの先いつまで続くのか、この先どうなるのか、見通しのつかないまま一日を必死に乗り越えているというありさまです。ボランティアができる時というのは、生活の中にいろんな意味で余裕がある時です。今の私は、身体的、精神的にアップアップしている状態です。傾聴ボランティアとして学び経験したことは、これからの私に大きなプラスになることと期待しています。
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