桜前線も北上し、私の住んでいる地域では、美しく咲いて人々を楽しませてくれた桜も葉桜となりつつあります。桜の季節といえば、自分自身や家族、子供達の節目節目での入学や入社など、新しい門出を祝う季節です。日本では桜は国の花のような存在で、この季節を待ち望み、開花予報も報じられ、国民あげて桜を愛でています。嬉しいことを手にした時は「サクラサク」残念だった時は「サクラチル」など、桜は人々の生活の中にもしっかり入り込んでいます。
桜はほとんどの場面において、楽しい、嬉しいなど、喜びを表現するような花ですが、私にとって、つらい悲しい別れの時と、桜は重なって思い出されます。姉が長い間病気と闘い、四十四歳で旅立ったのが桜の季節でした。日本中が桜の花に酔いしれ、うかれている時、父、母、兄、姉、姉の家族、私達家族は桜の花も目に入ることなく、せっせと病院へ通っていました。姉が旅立った日に、気付けば桜吹雪でした。美しく咲いた桜の花が散り、春の嵐の風に舞い上がり、美しくも無常な姿を、私達の目に焼きつけていきました。大切な人の命の終わりを桜吹雪で見送り、桜吹雪とともに旅立った大好きな姉を、この季節になると思い出します。
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