結婚式は、北プロヴァンスの小さな村の役場で執り行われました。人口五百人の本当に小さな村です。村長さんが急病のため、副村長さんが二人立会人になられました。前もって依頼してあり、新郎新婦の書類も届けてあります。役場の前は、小さな広場となっています。広場の真ん中に、大きなプラタナスの木があり、ほど良い木陰を作っています。その広場に面して、カフェやレストランが数軒あり、村人の社交場になっているようです。
広場には、テーブルやイスが並べられていて、広場を使ってサービスをされています。結婚式をする時には、テーブルを少し片づけて式を挙げるための場が作られます。十一時からの式のために、彼の家族、彼の師匠、彼の友人、娘の友人、そして私達、総勢六十人ほどが集まりました。日本人は五人だけで、フランスの方ばかりです。その中には、日本へ留学された経験があり、日本語を少し話される方もおられるので、私は少しほっとしました。とにかく「ボンジュール、アンシャンテ」「こんにちは、初めまして」を、連発する私です。お礼の言葉を言いたくても、娘の通訳なしでは通じません。
役場の前に机が一つおかれていて、その横には美しい女性の彫像が置かれています。それが式の準備です。まず始めに副村長さんが、式次第を述べられ、式が始まりました。時々皆さんから笑いが起こりますが、フランス語がわからない私は、その場の雰囲気を感じ笑顔を見せます。新郎新婦の隣には、それぞれの立会人が座っています。私達は、新郎新婦のすぐ後ろに座っています。彼のお母さんは、数年前に病気で他界されているので、お父さんだけです。そして周りにはたくさんの人が、二人のために祝福をしてくださっています。新郎新婦の紹介の次に、親の紹介も、副村長さんが言われました。私達は、立って深々とお辞儀をしました。皆さんから大きな拍手をもらって、胸がじんとしました。新郎新婦の誓いの言葉、署名が行われ、立会人の署名をいただき、式は終了します。夫婦となった二人は、立派な家族証明書を手にし、皆さんに披露しました。
そのあとは写真を撮ったりして、お世話をかけた副村長さん方にお礼を言って、パーティーの会場となっているお父さんの家へ車で移動しました。花嫁が乗っている車の隊列は、クラクションを鳴らして走るのが恒例になっているそうで、賑やかなパレードが十分ほど続きました。今までに外国の映画やドラマで、教会での結婚式は見たことがありますが、今回のような結婚式は初めてです。日本で行われている仏式や神式や人前式とは違い、シンプルで親しみのある式でした。小さな村の役場の前でのかわいい結婚式を体験できて、感無量でした。
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