まんたん(義母)と一緒に暮らし始めて三週間が過ぎました。今迄は数日を共に過ごすことはありましたが、べったりと一日24時間一緒にというのは初めてのことです。高齢になるにつれて記憶があいまいだったり、会話がちぐはぐになったりすることがあっても、それは老化に伴う自然現象だと、とらえていましたが、初期の認知症と診断されてから、その大きな違いを知りました。記憶するということが欠落しています。できません。会話の中でもさっき、今、こちらが言ったことなのに、同じ質問を何度も繰り返します。こちらは驚きながらも気を長くして同じ答えを何度も繰り返します。まるでこちらの言ったことが、頭の中に止まらず、つるつるとすべっていくような気がします。そして朝起きるなり、家族で宝さがしが始まります。ここにあったはず、ここにおいたはず、この中へ入れたはず、と思い込んでいるのは家族だけです。素晴らしい早業で場所移動が行われているのです。本人は、移動した場所、移動したこと、すべてきれいに記憶にありません。狭いマンションの中でさえ、宝さがしは容易ではありません。探し回った挙句、思いもよらない所から見つかります。ささいな物から大切な物までこの調子です。
世界一の長寿国となった日本のことを喜んでいましたが、体は素晴らしく丈夫で病気知らずの高齢者でも、皮肉にも認知症になるという悲しい人間の宿命を考えてしまいます。